保護者との話の中で、よく聞かれるのが「やっぱり朝はご飯の方がいいですよね?」という質問です。保護者の意識の中に、「ご飯は良くてパンはダメ」という認識があるようです。本当にそうなのか、まず、ご飯とパンの栄養や特徴を比較してみましょう。

※栄養価の出典 文部科学省/日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※栄養価の出典 文部科学省/日本食品標準成分表2020年版(八訂)

生活習慣病の脂質異常症や高血圧症といった持病がある大人は、脂質や食塩を余計にとりすぎてしまう食パンよりもご飯の方がよいかもしれません。しかし、子どもの場合はそうとは限りません。その理由を説明していきます。

成長期やアスリートはエネルギーを多くとる必要がある

必要エネルギー量が多い成長期や活動量の多いアスリートは、1食でとる食事の摂取カロリーも重要です。ご飯やパンを1食で、どのくらいの量を食べられるのか、摂取エネルギーはどのくらいかを比較した時に、例えば、「食パンなら2枚食べられるけど、ご飯は茶碗1杯しか食べられない」というのであれば、食パンの方が摂取エネルギーを多くとることができるので、良いでしょう。

おかずとの組み合わせを考える

バランスよく栄養を摂取するためには、主食のご飯やパンにプラスしてたんぱく質やビタミン・ミネラルの摂取も必要です。例えば、ご飯なら納豆とみそ汁、パンならゆで卵、ベーコン、レタス、トマトを挟んでサンドイッチにする、といった工夫でバランスを整えることができます。そうした組み合わせが容易に、継続して摂取できる食べ方が理想です。

無理せず準備できるものを選ぶ

食べるためには調理や食卓への準備が必要になりますが、朝は子どもも親御さんも忙しいため、食事の準備や食べる時間が限られることが多くなります。例えば、おかずを作るのは親御さん、ご飯やパンを準備するのは子どもたち、というように食事の準備を分担することもあるでしょう。その場合、主食にパンを選んでも良いのです。食事の準備は、子どもが将来に向けて食べる力をつけていくための食育でもあるので、あえてさせることも大事です。

このような理由で、「ご飯かパンのどちらがいいか?」と聞かれたら「主食の選択としてはどちらでもよい」となり、「目的や対象者、食べ方によって見解は異なる」という回答になります。

「何を目的に・いつ・何を・どのように食べるか」を考えることは、栄養補給の面ではどんなシーンにおいても重要です。食品を選ぶときも同じように考えると、食事作りの中で生じる悩みを解消することができます。その上でもし、迷ったり悩んだりしたことがあったら、身近な栄養士さんに相談してみてください。

今回紹介するレシピは「PFCバランスばっちりのクラブハウスサンド」です。今回のレシピで約600kcalのエネルギー摂取ができ、またエネルギーのPFCバランスも整っています。さらに、バナナなどのフルーツやオレンジジュースを加えて炭水化物量を増やすと、680kcal程度にエネルギーアップすることができます。

たんぱく質と野菜類を使用すること、パンを3枚にポテトを加えることで、1品で栄養バランスの整ったメニューにすることができます。具材のゆで卵やポテトサラダは作り置きしておくと、準備の手間が省けます。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美