成長期やアスリートにとって大切な栄養素であり、不足しやすい栄養素が「鉄」です。国民健康・栄養調査(令和元年)の報告によると、日本人の食事摂取基準(2020年版)の推奨量の基準値に到達できているのは18歳以上の成人男性だけで、成長期の子どもや女性は不足していることがわかります。

年齢別鉄摂取量と推奨量
年齢別鉄摂取量と推奨量

鉄が豊富なレバーを食べない理由

保護者や子どもたちに、吸収率が高く、少量でも鉄を効率よくとることができる食品としてレバーを勧めることは多くありますが、日常の食事で食べる頻度を5段階(「ほとんど毎日」「週に3~4回」「週に1~2回」「月に1~2回」「ほとんど食べない」)で聞いてみると、「月に1~2回」または「ほとんど食べない」の回答が大半です。さらに保護者に対してその理由を確認すると、「私(親)が苦手」「料理の仕方がわからない」「出しても(子どもが)食べない」など、栄養価が高いとわかっていても食べられていない理由があることがうかがえます。

小学校の家庭教育学級でレバー料理に挑戦

先日、小学校の家庭教育学級で調理実習の企画があり、何を作りたいかの選択肢の1つに「レバー料理」を入れてみました。すると、こちらの予想以上に希望する声が多く、みんなでチャレンジしてみることになりました。

メニューは子どもにも大人にも人気であるカレーをアレンジした「レバー入りキーマカレー」です。レバーの臭みを取り除くために重要な下処理は「レバーを触ったことがない」という保護者も含めて全員が担当し、血塊の洗い流し、余分な脂肪部分を取り除く作業をひと手間かけて丁寧に行いました。

それも功を奏して、出来上がった料理は「臭みがない」「レバー感がわからない」と大好評でした。「使ったことがない」「使い方がわからない」という苦手意識は、調理実習や何人か集まって一緒に作ってみることで克服できる可能性があります。コラムやセミナーで学んだことを実践する場にもなります。参考にしてみてください。

今回は、調理実習で作った「レバー入りキーマカレー」を紹介します。丁寧に下処理することに加え、香辛料を使用することでさらに臭みが消えて食べやすくなります。

下処理したレバーは、他のひき肉を使う料理(ミートソースや肉そぼろ等)にも応用できるので、ぜひアレンジしてみてください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美