2023年から、国体におけるアンチ・ドーピング教育が義務化されました。今年は私の活動拠点の鹿児島県での開催ということで、県スポーツ協会でもドーピング防止教育・啓発活動を実施し、薬物乱用・誤用防止の意識を高めるとともに健全なスポーツ活動を推進しています。

アンチ・ドーピング規定違反になると、大会結果の取り消しや一定期間の活動停止などの制裁を受けることになります。故意の摂取でなく、禁止物質を「うっかり」摂取してしまっても競技を続けることができなくなってしまうので、それを防ぐためにもアンチ・ドーピング教育を受けて、その予防に努めることが大切です。

トップ選手だけではないアンチ・ドーピング教育

国体におけるアンチ・ドーピング教育というのは、全国大会クラスに出場する選手だけが対象ではありません。

ドーピングが禁止される理由には、①競技者の健康を害する、②アンフェアである、③スポーツの価値を損なうといった可能性があるからです。つまり、ジュニアアスリートやその家族、サポートスタッフ、スポーツファンなど、スポーツに関わる全ての人がアンチ・ドーピングの理念やルールを理解し、行動に移すことがドーピング防止につながります。

サプリメント、市販薬・漢方薬には注意

基本的に、食物から禁止薬物を摂取することはありません。しかし、食品として分類されているサプリメントや栄養ドリンク、また市販薬や漢方薬には禁止薬物が入っている可能性があり、ドーピングは身近に潜んでいる課題です。これらは非常に簡単に手に入れることができるものなので、使用する前に一度立ち止まってみましょう。

サプリメント

サプリメントや栄養ドリンクは「食品」に分類されています。「ジュニア向け」といったサプリメントが販売され、手軽に入手できるため、選手や保護者の関心も高く、質問を受けることは多くあります。昨今は情報源も様々ですし、商品の成分表や原材料などを確認したとしても禁止物質が入っていないことを保証できない商品も多くあります。

まずは、本当にサプリメントが必要なのかどうかを栄養士に相談しましょう。その上で摂取する場合はスポーツファーマシストに相談したり、アンチ・ドーピング認証マークの付いた商品から検討するといった対策をとることをおすすめします。

漢方薬

漢方薬はぜんそくや鼻炎、胃腸障害、倦怠感などの症状改善として病院で処方されるほか、薬局やドラッグストアで購入できるものです。漢方薬は複数の生薬で構成されており、禁止物質が含まれていないことを断定することが困難で、原材料についても特定が難しいことから摂取を控えることが優先です。

処方薬・市販薬

病院や薬局で処方される薬や市販薬がありますが、いずれにしても禁止物質を含むものがあるので、受診する際には「アスリートである」ことを医者に伝えることが重要です。市販薬を使う場合は、スポーツファーマシストに相談した上で購入することをおすすめします。

選手を守るためにも専門家を活用する

成人アスリートになれば自分で調べて、自分で必要と考えるものを自分で購入して摂取することになりますが、ジュニアアスリートの場合、多くはコーチや保護者からの情報とその影響を受けて摂取につながる可能性が大きいと思います。だからこそ、選手を守るためにも選手だけでなく、スポーツに関わる方もアンチ・ドーピングに関する知識をつけ、適宜栄養士や薬剤師など専門家を活用して、スポーツ活動に取り組みましょう。

今回紹介するレシピは「塩はちみつレモン」です。レモンのビタミンCやはちみつに含まれる糖質は疲労回復にも効果的です。塩も加えているので水で溶けば、自家製のスポーツドリンクにもなるので、これから暑くなる季節の熱中症対策にもおすすめです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美

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