9月に入りました。今年は例年よりも梅雨明けが早かったことから「長い夏」となっています。残暑も厳しいといわれていますので、引き続いて熱中症対策をしていきたいところです。

今回は鹿児島の南さつまに伝わる郷土料理、「茶節(ちゃぶし)」を紹介します。

鹿児島県の枕崎は有名なかつお節の生産地で、「茶節」はその地方で古くから親しまれている料理です。作り方はいたってシンプル。準備する材料は「かつお節」「麦みそ」「緑茶」のみです。

湯飲みにかつお節とみそ、お茶を注ぐ

地元では湯飲みにかつお節とみそを入れて作ることが多いそうです。そこに熱い緑茶を注いでよく混ぜて完成。かつお節の香りとうまみが感じられる料理です。かつお節というと「だしをとる」というイメージがあるかもしれませんが、この茶節ではかつお節も「具」としてお汁と一緒にいただきます。

茶節の材料
茶節の材料

夏バテで身体がだるく、温かい食事はとりたくないという時があると思います。だからといって、冷たい食べ物ばかり食べるのはお勧めできません。

その理由は、冷たいものをたくさん食べると血流が悪くなることで、胃腸の働きが低下し、栄養の消化吸収がうまくできなくなるからです。この状態が続くと体力が低下してしまいます。つまり、冷たい飲み物や食べ物をとりすぎると、かえって夏バテを長引かせてしまうのです。

暑くてだるいときこそ、温かい汁物

そんなときは朝食に温かい汁物や飲み物を加えましょう。私は普段のアドバイスでは「具だくさんの汁物」をお勧めするのですが、このように食欲がないときは、今回の「茶節」のようなさらっと口に入るものから食べるのもよいですよ。

温かい汁物が口に入ることで、目覚めた身体の体温を上げることができます。また、水分と塩分の補給にもなるので、熱中症対策にも有効です。

忙しくてみそ汁を作ることにも億劫なときは、インスタントのみそ汁を利用するのも1つの方法ですが、茶節の手軽さならインスタントのみそ汁を準備しなくても、自宅でチャレンジしやすいですね。基本がシンプルな分、アレンジも自在です。

「茶節」は様々な具材でアレンジがききます。「ネギ+ワカメ」「オクラ+ショウガ」「揚げせんべい+シソ」も人気ですよ。

アレンジバージョン。写真上から時計回りに「揚げせいべい+シソ」「ネギ+ワカメ」「オクラ+ショウガ」
アレンジバージョン。写真上から時計回りに「揚げせいべい+シソ」「ネギ+ワカメ」「オクラ+ショウガ」

ネギ+ワカメ
材料=麦みそ10g、かつお節小1パック(2g)、緑茶150ml、刻みネギ3g、カットワカメ0.2g
栄養価=エネルギー29kcal、塩分1.1g、タンパク質2.5g、脂質0.5g、炭水化物3.4g

オクラ+ショウガ
材料=麦みそ10g、かつお節小1パック(2g)、緑茶150ml、ゆでオクラ10g、刻みショウガ1g(チューブも可)
栄養価=エネルギー31kcal、塩分1.1g、タンパク質2.6g、脂質0.5g、炭水化物3.6g

揚げせんべい+シソ
材料=麦みそ10g、かつお節小1パック(2g)、緑茶150ml、揚げせんべい10g、大葉1枚
栄養価=エネルギー74kcal、塩分1.2g、タンパク質2.9g、脂質2.1g、炭水化物10.2g

「揚げせんべい+シソ」は、せんべいから染み出るしょうゆと油でおいしさが増し、なおかつせんべいが膨れることで食べ応えも出て子どもたちにも人気です。「オクラ+ショウガ」はオクラのとろみとショウガのさっぱり味が合わさり、口にサッと入ります。

このように、色々とアレンジして好みの味を見つけるのも楽しいものです。使うみそも自由です。鹿児島では麦みそで作りますが、各地のなじみのみそで、わが家の茶節をお楽しみください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・久永まゆみ