日頃、未就学児を持つ保護者と関わることの多い私は「背を伸ばすには、よく食べ、よく遊び、よく寝ることが大切ですよ」と伝えています。栄養士という立場柄、よく食べることに重点を置きたいのですが、この3要素の中で最も大切なのは「よく寝ること」です。

寝る子は育つ

「寝る子は育つ」と言うように、夜寝ている間に成長ホルモンが分泌されることはとてもよく知られていますね。睡眠には「体内時計を正常に保つ」という重要な働きがありますが、体内時計を正常に保つことで、ヒトの体内では様々なホルモンが適切に分泌されます。身長を伸ばすカギとして、成長ホルモンとともに「性ホルモン」が重要な働きを担っています。

私たちは第二次性徴(女児は初潮や乳房発達、男児は体毛の変化や性器成熟)を迎え、性的に成熟すると、身長の伸びが止まります。睡眠が不足するとホルモンバランスが乱れて第二次性徴を早めてしまい、結果として身長の伸びる期間を短くしてしまう可能性があるのです。「性的成熟が遅く、いつまでも幼さが残るような子が、周りの身長の伸びが止まった後にぐっと伸びた」「部活を引退して運動量が落ち、睡眠時間が増えたことで急に背が伸びた」といった話を聞くことがあるのは、そういった理由が関係しているのです。

遺伝的要因は2~3割

「うちは両親とも身長が低いから…」という声をよく聞きます。遺伝的要因から計算される子の最終身長の予測式は以下の通りです。

男子= { 父親の身長(cm) +( 母親の身長(cm) + 13 )} ÷ 2
女子= {( 父親の身長(cm) - 13 )+ 母親の身長(cm) } ÷ 2
(鏡雅代,田中敏章,緒方勤:日本人のtarget heightおよびtarget rangeの再評価.第37回日本小児内分泌学会,2003より)

しかし、子の最終身長を決定する上で遺伝的影響は2~3割と言われます。残りは生活習慣次第で、これより高くも低くもなる可能性があるということです。

身長を伸ばすのも積み重ね

身長の高さは、多くのスポーツで有利に働く身体的要素です。競技力を高めることももちろん大切ですが、成長期真っ只中のジュニアアスリートは「身体の成長や成熟」にも意識を高く持ちたいですね。

眠っている間、体内では疲労回復やダメージを受けた箇所の修復も積極的に行われます。そのためには、身体を作る材料が必要です。しっかり食べてしっかり眠ることは、結果的に競技力の向上やケガの予防にもつながるのですね。

今回のレシピは優しい甘さで朝食や補食に手軽に食べられ、身体を作る材料となるタンパク質を補給できる「おからスコーン」です。生おからと薄力粉などの材料を混ぜて、形を整えてオーブンで焼くだけ。小さな子どもも食べやすい味です。ぜひお試しください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子