ジュニアアスリートや保護者対象のセミナーを行っていると、時々保護者から以下のような相談を受けることがあります。

やっている競技の練習頻度や時間が長く、子どもに休みがない。
主にやっている競技に役立つよう、ほかの競技や種目の習い事も2つ以上並行してやっていて、子どもがカラダを休める日がない。

共通点としては、「子どもが完全にカラダを休める日がない」「食事をする時間がない」ということです。「どうすればいいか」と相談されていろいろ聞いていくと、驚くほどのタイトスケジュールでお子さんが動いており、いまやそういったケースが特別でなく、割と多いことにも驚きます。

活動量が多い分、エネルギー摂取が必要

忙しく過ごすお子さんの身長や体重を聞いて思い浮かんだ心配は、エネルギー不足です。大抵そのような子たちはエネルギッシュによく動くので、そもそも運動量が多いのです。運動することが好きだから、たくさん動いてもまだまだ動きたいし、多少疲れていても頑張ろうとする傾向があります。

運動が好きなことはとても良いことですが、その活動を支えるためには何よりもエネルギー、糖質(炭水化物)を中心にタンパク質や脂質が必要です。それに各種栄養素、ビタミンやミネラルも欠かせません。

食事で不足する分を補食でカバー

運動に勉強にと忙しい生活を送るお子さんは、毎日決まった時間に3食とることは難しくなります。また、3食だけではエネルギーが足りない場合もあるので、補食でカバーしましょう。補食はお菓子などの「おやつではなく食事」と考えて、エネルギーを補うことを意識しましょう。

運動する前や直後の補食は、主食のご飯やパンに、チーズ、卵、ハムなどのタンパク質がとれるものがおすすめです。おにぎりやサンドイッチ、ホットドッグなど、ちょっとした時間に片手で食べられるものが便利です。その上で帰宅が遅くなり、夕食が遅くなったときは、消化の良いうどんや餅、乳製品のヨーグルトなどを利用していきましょう。

野菜は濃い緑の葉物、加熱してかさを減らす

ただ野菜は、補食では量を多くとれないので、食事でしっかりとる必要があります。「野菜」と聞くと、生野菜のサラダを思い浮かべる方もいるようですが、葉物野菜は加熱してかさを減らすとたくさん食べられます。色の濃い葉物野菜を中心に用意しておくと良いでしょう。

成長期の子どもは運動をしなくても、自身のカラダを大きくするためにかなり多くのエネルギーを必要とします。そのためかなり多くの食事量が必要です。折に触れ、子どもたちにも食事や補食の役割を伝えながら、子ども自身も楽しみながら食べられるようにサポートしていきましょう。

今回は「チキンの粒マスタードソースとキウイのカスクートサンド」を紹介します。カスクート(カスクルート)パンにサラダチキンとキウイフルーツを組み合わせて、糖質、タンパク質、ビタミンがとれるようにしました。

このレシピでは全粒粉のパンを使いましたが、消化が早いのは白いパンですので場面に応じて使い分けるといいでしょう。チキンは、市販のサラダチキンを使っても作り置きを使ってもOK。チーズも加えているので、このレシピだけでもタンパク質はしっかり24g以上とれます。

キウイは年間を通じて手に入りやすい果物です。冬は国産キウイの旬の時期ですので、ビタミンCたっぷりのキウイをスライスして挟み込みました。

カスクートとは、フランス語で軽食やお弁当を意味する言葉。「チキンの粒マスタードソースとキウイのカスクートサンド」を補食のレパートリーの1つに加えてはいかがでしょうか。

管理栄養士・月野和美砂