中学生や高校生を対象に、食育セミナーやスポーツ栄養セミナーを行う際、日頃食べているものや苦手な食材などを聞くと、「魚が苦手」という声を多く聞きます。魚嫌いな子どもが多いのは今に始まったことではありませんが、セミナーではタンパク源を肉ばかりにせず、魚や大豆製品を積極的にとるように指導しています。

魚に含まれるEPAやDHA

特に魚は、肉にはない油脂の特長があります。魚に含まれるEPAやDHAなどの多価不飽和脂肪酸は赤血球を柔らかくして、体の隅々まで酸素を運んでくれるのです。激しい運動をして呼吸が乱れるアスリートにとって、EPAやDHAは積極的に摂りたい成分で、魚を食べられるかどうかの影響は大きいと言えます。   そんな魚の中で、子どもが一番食べるのは「サケ(シャケ)」ではないでしょうか。生サケ、塩サケなど和洋どちらでも扱いやすく、色が鮮やかなところも食べられている理由かもしれません。

私が現在、関わっているクラブが以前活動していた時、神奈川県清川村にある県の宿泊施設をよく利用していました。地域の方が厨房で作ってくれる食事は、あらかじめ数パターンの中から団体で選ぶようになっており、私たちのクラブは毎回、焼いたサケをほぐして混ぜご飯にしたものを選んでいました。

主に子どもたちが宿泊する施設の食事で、主菜ではないものの魚を使っていたこと、そのメニューを子どもたちが比較的好きだったこと、馴染みのある魚を焼いてわざわざ手でほぐして入れてくれていたことなどを思い出しました。今回は、そんなことを思い返して作った「サケと野沢菜の混ぜご飯」を紹介します。

サケは切り身を焼いてからほぐし、骨などを取り除いて混ぜた方が身の存在感が出ますが、サケのほぐし身の瓶詰めなどを利用すれば、火を使わずに作れるので、小学生でも調理可能です。自分で作ることで、苦手な食材に慣れていくメリットもあるので、ぜひ子ども自身で作る題材に、きっかけ作りにしてみてください。

サケの塩加減によっては塩分過多になるので、野沢菜の漬物は洗って絞ってから使うようにするなど、味を調整してください。白ゴマは食感を豊かにするため、必ず加えましょう。

魚はアスリートに積極的にとってほしい食材です。食べやすい魚を調理で扱い、口にすることで徐々に他の魚も抵抗感をなくし、食べられる食材の幅を広げてくれたらと思います。

管理栄養士・月野和美砂