プロチームにおいては、年に1回の血液検査はもちろんのこと、定期的に検査を行い、選手のパフォーマンスに活かしています。

 私がサポートしているプロ選手の中に、血液検査の結果が驚くほどの値の選手がいます。赤血球やヘモグロビンの値などはもちろんのこと、興味深いのはEPA/AAの値。これがチームの目指す値よりも、数倍以上も高いのです。

 EPAはエイコサペンタエン酸、AAはアラキドン酸の略です。この値が低い、つまりEPAが低くAAが高いと心筋梗塞などのリスクが高まるとされ、0.4未満になると大幅に増加されるという結果があります。肉食傾向のアメリカ人などは0.1と低く、逆に魚を多く食べるイヌイットは8.0ともいわれていて、心筋梗塞の罹患率に大きな違いがあります。

イヌイット並みの数値の選手が

 選手にはケガなどを含めた炎症などを予防するために、この値を意識させていますが、私がサポートしているその選手は、なんとイヌイットに近い値! これにはみんな驚くようですが、その選手の食事の傾向としては、n3系とn6系の脂質のとり方や、野菜の種類などに特徴があります。

 少し難しいお話になりますので、簡単に言うと、例えばタンパク質を取る場合でも、肉だけからとるのではなく、食品を組み合わせるという食べ方をします。また、魚をよく食べ、種類や調理法までも意識させています。

サバのオイスター炒め
サバのオイスター炒め

 ちなみに、日本人のEPA/AAの平均は0.5~0.6程度といわれています。0.4を超えているから大丈夫ではありません。この値は個々の食べ方で大きく変わってきます。肉ばかり食べていると、この値が低くなる傾向があるため、魚も食べることが大事なのです。

 さて、その選手が良く食べている魚の一つが「サバ」。今回は、そのサバを使ったレシピ「サバのオイスター炒め」を紹介します。サバはタンパク質が豊富で、造血作用もありますが、EPAを補給するにはとても効率的です。

 体を強化するために、選手はタンパク質を多くとることが必要になりますが、そういった場合に、肉だけ食べることがなぜマイナスなのかを理解して、魚も上手に選びましょう。