皆さんは「食品添加物」についてどんな印象を持っているでしょうか。どんな役割があって、なぜ使われるのかをご存じですか。知らないために、加工食品を使うことに漠然と不安がある人もいるでしょう。

「食品添加物は体に悪い」と安全でなく悪者のように言われることが多いのですが、味を良くしたり、色や香りをつけたり、菌やカビの発生を防いで長持ちさせるために使われています。添加量などは食品衛生法によって厳しく決められていますから、食品添加物を摂取しただけで病気になることはありません。

食品添加物の主な役割

食品添加物の主な役割は次の4つです。

①長持ちさせる=食品が腐敗したり、変質したり、品質が低下するのを防ぐ
②おいしそうにする=食品の見た目や味や香りなどを良くして品質を向上させる
③栄養を足す=食品の栄養価を高める
④食品の製造、加工に必要なもの

それぞれ具体的に見ていきましょう。

①長持ちさせる
食品の品質低下を避けるために保存料、酸化防止剤、防かび剤などが使われます。食中毒や感染症などの原因となる細菌の増殖を抑制し、本来ならすぐに腐ってしまう食品も、長期間保存ができるようになるのでフードロスの観点でもメリットがあります。使用されている食品にはハム、ソーセージ、干物、かまぼこ、バター、ワインなどがあります。

②おいしそうにする
食品の品質や価値を高めるために、調味料、甘味料、着色料、酸味料、香料などが使われます。ハムや明太子などは、見た目がきれいだとおいしそうに見えますし、カキ氷のシロップも色鮮やかなものが多いですね。ただし、不自然な色や香りは好まれないので、色や香りに関する食品添加物には、キャロット色素や紅花色素などのような天然由来の食品添加物もたくさんあります。

お菓子を作る時に加えるバニラエッセンスも、香料として食品添加物になります。人は、香りからおいしさを感じるので、コーヒーや紅茶、フルーツなども様々な香料を入れている商品が多いのです。また、虫歯予防や糖の過剰摂取を防ぐ目的で、ガムなどに甘味料(キシリトールやアステルパームなど)が使われています。少しの量で強い甘みを感じます。 

③栄養を足す
食品の栄養価を高めるために、栄養強化剤などが使われます。食品の製造加工・保存などで失われる栄養素を補充する目的で添加されるものです。使用基準のあるもの(ミネラル関連物質)と、ないもの(ビタミン関連物質)があります。粉ミルクや、ジュース、スポーツドリンクなどで使われていますが、酸味料や保存料などとして用いられているビタミンEやビタミンCは栄養的な価値があるほど添加されていません。

④食品の製造加工に必要なもの
加工食品を作る際に必要なものとして、乳化剤、膨張剤、増粘剤などがあります。乳化剤は混ざりにくいものを混ぜて安定させる役割があり、増粘剤はドロッとさせる役割があり、ドレッシングや乳飲料、ホイップクリーム、カレールウなどで使われています。凝固剤の役割として、豆腐はにがり、こんにゃくは硫酸カルシウム、中華めんでは、こしを生むためにかん水などが昔から使われています。

食品添加物の安全性の定め方

では、これら食品添加物の安全性は、どのように定められているのでしょうか。

食品添加物は、食品衛生法によって厳しい使用基準が定められています。使用できる食品添加物として認められるためには、様々な実験や検査が行われ、会議にかけられ、厚生労働大臣の許可を得て指定されます。

実験にはねずみ(ラット)が使用されており、28日間、90日間および1年間反復投与毒性試験が行われ、命や健康への影響、発がん性、アレルギー反応を起こさないか、成長を妨げないかなど細かく調べられます。その上で人間が毎日食べ続けても安全と認められる量(1日摂取許容量)を計算し、使ってもよい量を厚生労働省が決めています。さらに詳しく知りたい人は、一般社団法人日本食品添加物協会の資料を参考にしてください。

加工食品を利用するための心構え

私たちは食品添加物のおかげもあって、便利で豊かな食生活を送ることができています。食品添加物がなかったら外食もできなくなり、コンビニや出来合いのお惣菜や海外の食材を楽しむこともできません。日本では、国によって食品添加物の安全性が定められ、管理されているので安心してほしい反面、気を付けてほしいこともあります。

安全性の実験はラットでの実験であり、人体でテストしたわけではありません。また、その実験は1種類の添加物だけで行われ、複数のものを同時に摂取した場合のテストは行われていません。摂りすぎれば「毒」になる可能性もあります。加工品を購入する時は、食品表示を見る習慣をつけ、自分の判断で選ぶようにしましょう。

今回は「小松菜とコーンの白あえ」を紹介します。加工品を手に取るときは、作る時間がない時が多いと思いますが、このレシピは材料さえあればすぐにできる時短レシピでもあります。

火を通した小松菜と冷凍コーンを豆腐の衣であえるだけ
火を通した小松菜と冷凍コーンを豆腐の衣であえるだけ

小松菜はすぐに調理しない場合、新鮮なうちに冷凍しておくと便利です。生のまま冷凍保存するときはキッチンペーパーで水気をふきとり、4cm幅程度に切ります。小分けにしてなるべく重ならないように冷凍用保存袋に入れ、空気を抜きながら口を閉じて冷凍室に入れましょう。冷凍したとしても、できるだけ早めに使い切ってくださいね。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ