私たち大人もそうだったと思いますが、子どもは、休めば体力が戻ります。特に年齢が低く、元気な子どもたちに食事の重要性を伝えても、なかなか理解をしてもらえません。

思春期を迎えると、アスリートとして本格的にトレーニングするようになり、支える立場の保護者の声は伝わりにくくなります。そんな選手たちには、指導者からの働きかけが最も効果があります。プレー面だけでなく、食事を含めた体作りに対しても指導者が意識を高め、「スポーツ食育」を主導していって欲しいと思います。

サッカーのまち藤枝で指導者対象の講習会

私の住む「サッカーのまち」、藤枝市はサッカーを核とした街づくりを行っており、2021年度から藤枝市サッカー協会は年間を通じてスポーツ栄養学の食育に取り組んでいます。先月末には、藤枝市内のスポーツ少年団や女子のサッカーチームの指導者、中学校の部活顧問約50人を対象に、「スポーツ食育のススメ」の講習会を実施しました。

関わっている小中高大学、女子チームへの取り組みを5種類ほど紹介しました

講師を担当した私は、関わっている小中高大学、女子チームへの取り組みを5種類ほど紹介。食事を摂る適切なタイミングや量、練習や試合時のシミュレーションなどを説明したほか、食事サンプルを見せながら、食材やおかずの組み合わせや量を具体的に伝えました。また、選手への声かけの仕方などもお話ししました。

食事サンプルを見せながら、食材やおかずの組み合わせや量を具体的に伝達
食事サンプルを見せながら、食材やおかずの組み合わせや量を具体的に伝達

講義だけでなく、「食べる教材」として実際に食事も提供
講義だけでなく、「食べる教材」として実際に食事も提供

選手のモチベーションを上げる声かけ

選手たちは常に、指導者に認められたいと思っています。「よく頑張っているね」「あれ? カラダ大きくなったんじゃないか?」「最後まで粘れるようになったな」など、指導者から声をかけられるとモチベーションが上がり、さらに努力しようとします。

講習会の様子
講習会の様子

指導者はそういった言葉をかけながら選手の体の状態を数値で把握し、目標をイメージさせて食事の重要性を教えて欲しいと思います。このような食育を継続して行うことで、選手個人はもちろん、チーム全体としても効果が表れやすくなります。

「指導者ができること」3点

様々な家庭環境がありますので配慮は必要ですが、講習の中で私は「指導者ができること」として次のことをお願いしました。

参加者は皆、真剣そのもの

(1)下記のようなチームのルールを作成して指導者が管理する。選手全員の意識を高めるため、守れない場合は練習に参加できないなどのペナルティ要素も盛り込む。

<ルールの例>
①朝ごはんは、主食(ごはん、パン、麺、おもちなど)+主菜(肉、魚、卵、大豆製品)を必ず食べる
②21時には布団に入る

(2)試合スケジュールを見て、あらかじめ食事や補食をとるタイミングを説明しておく。

(3)練習後(試合後)、補食をとるところまでを練習とする。

アスリートとして今がピークである必要はありません。子どもたちが長い期間、ケガをせず楽しく健康でいて、その先に勝てる心とカラダを作っていきたいですね。そのためには食事が大切。いずれ自分で食事管理ができる選手に育てるため、指導者も率先して声をかけて欲しいと思います。

今回は「豚しゃぶのフルーツたっぷりビタミンパワーサラダ」を紹介します。主菜・副菜・果物がとれるサラダです。

特に暑い時期は、「食べなくちゃいけないけど、食べたくない」というときもあるでしょう。そんなときは酸味や冷たいものを上手に利用したり、見た目や彩りを変えたりして食欲を刺激してみましょう。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ