<イップスって何?(32)>

ベースボール・コーチングアカデミーの校長、寺沢恒氏(51)と野球指導の談議が続きます。

教えすぎずポイントを絞った指導がいい。しかし、少年野球の指導者は専門家ばかりではありません。保護者がコーチを務めるチームでレベルの高い指導は難しい場合も多いでしょう。

「だから我々は情報交換をしています。フェイスブックで練習方法の動画を流したり、各地で勉強会も開いています。首都圏だけでなく北海道や青森、高知や広島にも行きました。今オフには福岡で開催する予定もあります」

私も埼玉・大宮で行われた勉強会に参加しました。動画を用いた練習方法の紹介や、ライフル射撃で日本チャンピオンになった経験もある寺沢氏のメンタル面の指導もありました。

勉強会の後は、居酒屋で懇親会も行われました。各地で奮闘する指導者が、リラックスした雰囲気で意見交換をしていました。「どんな言葉で伝えるか」「うまく伝わらない時はどうするか」。指導方法はさまざまでも、野球が好きで子供たちを成長させたい思いは同じだと感じました。

指導に1つの正解はありません。「イップスを招かないためには、こう指導すべきだ」などと安易な結論は出せません。しかし、選手のために指導者が勉強を重ねる。この姿勢は重要だと感じました。【飯島智則】