<イップスって何?(31)>

ベースボール・コーチングアカデミーの校長、寺沢恒氏(51)にイップスを聞きました。中学生の指導経験を持ち、今は同アカデミーを通じて多くの指導者と交流しています。UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)でコーチングを学んだ経験もあります。

「イップスと指導の関係で言えば、日本では多くの指導者が『教えすぎ』でしょう。UCLAの教えですが、自然に動くところをいじっちゃいけない」。

立ち上がって、投球のテークバックからトップまでの動きを繰り返しました。「ここはブラックボックスと呼ばれていた。手をつけちゃいけないところという意味です。ここで細かいことを言うと、動きが分からなくなってしまう」。

投球の指導はするなということでしょうか。

「いや、直すならブラックボックスに入る前です。例えば投手ならプレートの使い方は細かく指導する。あとはフィンガー・オン・ザ・ボール…『指をボールの上に乗せておきなさい』と。こういう部分を直すことで、自然にトップに入るようにする。理にかなった指導に思えました」

よく分かります。ただ、保護者がコーチを務める少年野球チームも多く、専門家にばかり指導を受けられません。その場合はどうしたらいいのでしょうか。【飯島智則】