<イップスって何?(26)>

イップス先生こと、イップス研究所の河野昭典所長(60)から「記事に書いてほしいことがある」と言われました。一体何でしょうか。

「イップスは決して恥ずかしいことではない。それを分かってほしいんです。誰でもなる可能性があります。能力の高い子の方がなりやすい。『うまくなりたい』『甲子園に行きたい』『プロになりたい』など、思いが強いからこそイップスになる。そういう子は周囲に隠そうとします。できない自分が恥ずかしく、許せない。でも、隠せば隠すほど悪化してしまいます。また、克服しようと、疲れも忘れて練習を強化します。やればやるほど、思えば思うほど、思いとは裏腹に症状が悪化する。努力逆転の法則です」

イップスで競技をあきらめてしまう選手がいる。それがもっとも悲しいことだといいます。

「風邪をひいたらせきが出る、熱が出る、鼻水が出るなど、症状が出ますよね。これと同じです。イップスは、今のフォームや練習に無理がきているというサインが出ているだけです。イップスはまったく恥ずかしくない。そう思ってほしいんです」

イップスは治りますか?

そう問うと、イップス先生はニッコリ笑いました。【飯島智則】