<イップスって何?(19)>

左腕投手の荻野佑真さん(22)は、今春からは社会人野球で投手を務めています。大学時代に投球で悩み、イップス研究所を訪れました。河野昭典所長(60)の指導でイップスを克服できました。悩んでいた当時を振り返ってもらいます。

「河野先生に『言いたくても言えないことがたまっているんじゃない』と言われました。そういえば父が野球に厳しかったこともあって、怒られないようにという思いが強かった。性格的にも『友達に嫌われたくない』と思うタイプでした。大学に入って先輩に気を使って…心の中にたまっていたものが増えてしまったと思います」

その時、河野所長にかけられた言葉が記憶に残っていました。「『ごみ箱がいっぱいになったら捨てればいいんだよ』と言ってもらい、とても楽になった覚えがあります」。無意識のメンタルトレーニングと技術練習。その繰り返しで野球を続けられた。

荻野さんは日体大の卒業論文でイップスをテーマにしました。「教職を取ったので母校(日大三)で教育実習をしました。その時もイップスに悩んでいる選手に声をかけました。理解できる人がいるって、すごい大事なことだと思います」。悩みが深かったからこそ、克服できた喜びは大きかったのでしょう。【飯島智則】