<イップスって何?(3)>

 イップスは誰にも起こる可能性があります。イチロー選手がイップス経験を打ち明けたこともあります。

 16年3月、テレビ朝日系「報道ステーション」のインタビューで、高校時代の話に及んだ際「ピッチャーを続けたいというのはあったんですけど、途中、僕イップスになっちゃったんで」と発言しました。

 同時に「一番の僕の野球人生のスランプでしたね」「プロに入って治ったのは97年ぐらい。(96年に)日本一になったとき、僕はまだイップスでしたから」「あんな、しんどいことないですよ」などと話しており、苦しんだ様子がうかがえます。ちなみに、いかに克服したかを問われ「センスです。これは努力ではどうしようもない。センスです」と答えています。

 イチロー選手のようなスーパースターでも、イップスに陥ってしまうのでしょうか。イップス研究所の河野昭典所長(59)は「イップスは誰でもなる可能性があります。アマでも、むしろ能力の高い子、思いの強い子がなりやすい」と言います。「イップスになったから能力が低いわけでも、精神的に弱いわけでもありません。もし本人や指導者がメンタルだけの問題と考えていたら、間違いです。その認識を変えなければ克服できません」。

 次回から原因や対処法を考えていきましょう。【飯島智則】