たんぱく質ブームが続いています。「体に良い」「美容に良い」「健康のため」と意識して摂取している人も増えているようですが、皆さんは、どのような食材から日々、たんぱく質をとっていますか。

最新のアンケート調査から見えた背景

2024年5月に15歳~64歳の男女1000名を対象に実施した調査(実施主体:日本テトラパックリセッ豆乳プロジェクト)で、「栄養バランスをとるうえで、摂りたい・摂るべきと思う栄養素」を聞いたところ、たんぱく質が1位(59.1%)となる一方で、動植物性たんぱく質のバランスを意識していない人が8割以上もいることも明らかになりました。

提供資料から
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さらに、「動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の違いを知っているか」について聞いたところ、「知っている」と回答したのはわずか約2割(22.3%)。また、「食生活の中で、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質のバランスを意識しているか」という質問に対しては、約8割(82.8%)の人が「意識していない」と回答しました。

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また、動植物性のたんぱく質バランスを意識している人も、約6割(65.7%)が、「実際には食生活の中で動植物性のたんぱく質バランスがよくとれていない」もしくは「バランスよくとれているかわからない」と回答しています。実際に、動物性と植物性のたんぱく質のバランスがとれている人は、実際の食生活では少ないようです。

「たんぱく質を摂らないと」と思っていながらも、何から、どのように摂れば良いのか分かっておらず、実は足りていないという人が多数いるという現状が見えてきました。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質

ここで今一度、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質について、おさらいしておきましょう。

動物性たんぱく質を多く含む食品は、肉、魚、卵、乳製品。植物性たんぱく質を多く含む食品は、豆(大豆製品)、野菜、穀類などです。

提供資料から
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動物性たんぱく質の特徴
・アミノ酸スコア100のものも多く、栄養価が高く吸収率が高い。その反面、脂質が比較的多いため、脂質(飽和脂肪酸)の摂り過ぎに注意が必要。摂りすぎると、生活習慣病の原因にもなりやすく、腸内環境のバランスが乱れ、便秘や腸の不調を引き起こすことがある。

・多く含む食品
肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚(イワシ、サバ、マグロなど)、乳製品(牛乳、チーズなど)、卵

植物性たんぱく質の特徴
・動物性たんぱく質に比べて吸収率は今ひとつだが、消化吸収が緩やかな分、満腹感や満足感を得やすく、過食の防止効果などが期待でき、カロリーも抑えられる。食物繊維を含む食品が多いのも特徴で、大豆製品にはサポニンやイソフラボンなど抗酸化作用のある成分や、ホルモンや体の機能をととのえる成分が多く含まれている。

・多く含む食品
豆(大豆、えんどう豆、そら豆など)、野菜(アスパラガス、ブロッコリー、枝豆など)、穀類(雑穀、トウモロコシ、そばなど)、果実(アボカド、バナナなど)

提供資料から
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上記のように動植物たんぱく質は特徴とともに、メリット、デメリットがあり、それぞれの良さを取り入れるために、摂取する理想の割合は50%:50%の「1:1」とされています。しかし、どうしても今の日本人の食生活は肉や魚の動物性たんぱく質に偏りがちです。飽和脂肪酸の摂りすぎは血液ドロドロで動脈硬化の原因にもなりますし、肥満や高血圧などの生活習慣病にもつながります。

とはいえ、毎食たんぱく質量を計算したり、動物性か植物性かを確認しながら食べたりするのは現実的ではありません。ついつい肉や魚に偏りがちな食卓に、植物性たんぱく質を多く含む食品をちょこちょこプラスする、もしくは置き換えることを意識して「1:1」に近づけていきたいものです。

植物性たんぱく質不足を補う「豆乳」

かつての日本人は穀類をしっかり食べていたため、植物性たんぱく質を補えていましたが、最近は糖質オフといって白米などの主食を食べない人が増えたため、穀類からとれるたんぱく質が不足する人が増えています。

植物性たんぱく質が不足していると感じた時に役立つのが「豆乳」です。自宅ではもちろん、外出先でも手軽に購入できますし、持ち運びも便利。比較的安価で購入できるので、家計にも優しい食品です。

各社から販売されている豆乳
各社から販売されている豆乳

<豆乳の5つの特性>
1、時間・場所を選ばす手軽に摂取できる
2、大豆由来のたんぱく質は血清コレステロールの調整機能がある
3、たんぱく質のほかにも、栄養成分や機能性成分が豊富に含まれる
4、空腹感を満たし、暴飲暴食を予防できる
5、スーパー、コンビニなどで手軽に購入できる

また、 豆乳には、大豆たんぱくに加えて、さまざまな栄養成分(抗酸化成分、ミネラル、イソフラボンなど)や食物繊維(オリゴ糖)が豊富に含まれています。食品でたんぱく質を摂るメリットは、たんぱく質に加えて他の栄養素がとれることです。

<豆乳に含まれる栄養成分>
イソフラボン、大豆たんぱく、サポニン、レシチン、ビタミンB群、オリゴ糖、カリウム、ビタミンE、鉄 、マグネシウム、不飽和脂肪酸、葉酸

毎日豆乳2本を4週間で腸内環境が改善

大豆をキーワードに、豊かな食生活のあり方を研究している跡見学園女子大学マネジメント学部生活環境マネジメント学科の石渡尚子教授から、今年5月~7月にかけて実施した「豆乳摂取による体調改善調査」についての結果報告がありました。日頃、豆乳を飲んでいない20代~30代女性合計14名に対し、200mlパック(比較的たんぱく質量の多い商品)2本を1日2回に分けて4週間摂取させたところ、以下のような変化が見られたとのことです。

研究報告をする跡見学園女子大学の石渡尚子教授
研究報告をする跡見学園女子大学の石渡尚子教授

1、たんぱく質をしっかり摂れていた(被験者14人全員が摂取推奨量を達成、14人中10名が摂取目標量を達成)
2、たんぱく質の動植物バランスが向上(動物性たんぱく質に偏っている被験者は14名中2名のみ)
3、間食の回数が減少
4、腸内細菌叢の改善が認められた(総合判定D判定が5名~2名に減少)
5、参加者の自覚として、疲れ、肌・髪の毛の状態に改善が認められた

石渡教授は被験者が14人と少ないデータであると前置きした上で「豆乳を継続摂取することでビフィズス菌が増えて、腸内細菌が活動しやすくなり、腸内環境が改善されたと思われる」と解説。さらに「腸内環境が良くなった人が増えたこと以上に、悪かった人が減ったというのがうれしいポイント」として、腸内細菌叢のバランスが整うことで便秘が改善され、疲労回復、不眠解消につながったと説明していました。

また、豆乳などの大豆製品には女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンが含まれるため、摂りすぎると女性ホルモンのバランスが崩れるとの見方については、この調査において「生理周期にばらつきは見られず、影響はなかった」としていました。

日常に豆乳を取り入れるためのアドバイス

「豆乳はそのままでも飲めますし、料理にも使えるのが利点です」と言うのは、豆乳マイスタープロでもある管理栄養士の藤橋ひとみさん。料理に活用する方法を教えてくれました。

豆乳の活用法について話した管理栄養士の藤橋ひとみさん
豆乳の活用法について話した管理栄養士の藤橋ひとみさん

朝食=卵焼きや目玉焼きなどお好きな卵料理に豆乳をプラス。豆乳は、和食にも洋食にも合わせやすいのがgood
昼食=出先でのランチはコンビニで豆乳を購入してもOK。おにぎり、サンドイッチ、サラダチキンに豆乳1本をプラス
夕食=動物性食品に豆乳を調味料として使ってみよう。豆乳冷や汁、豆乳ポテトサラダなど。みそ汁に豆乳をプラスしてみても、味にコクが出ておいしくなります

「無調整豆乳」「調製豆乳」「豆乳飲料」

豆乳は各社から多くの種類が販売されていますが、日本農林規格(JAS規格)により、大豆固形分(製品から水分を除いた残りの成分)がどのくらい含まれているのかで、大きく「無調整豆乳」「調製豆乳」「豆乳飲料」の3つに分けられます。

藤橋さんは、豆乳の選び方について「味に臭みがあって少し苦手という方は、まずはフレーバー付きの豆乳飲料を、それに慣れてきた方は調整豆乳に、たんぱく質の成分をしっかり摂りたいという方は無調整豆乳という具合に選ぶといいですよ。成分に関しては商品のパッケージをご確認くださいね」とアドバイスを送っていました。