最近よく聞く「アニサキスによる食中毒(アニサキス症)」とは一体どんなものなのでしょうか。予防と対策をお伝えします。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫(アニサキス幼虫)は長さ約2~3cm、幅は約0.5~1mmで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカ、ニシンなどの魚介類に寄生しています。寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍、または加熱のものを含む)で食べると、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒を引き起こすのです。
生魚食べた数時間後に激しい腹痛
●急性胃アニサキス症=食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐
●急性腸アニサキス症=食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状
生の魚を食べた後、数時間から十時間(だいたい8時間と言われている)後に激しい腹痛がある場合、アニサキス症が疑われるので、速やかに医療機関の受診が必要です。
日本では、寿司や刺身などで魚介類を生食する習慣があるため、諸外国に比べて多くのアニサキスによる消化器疾患が発生しています。厚生労働省が発表する食中毒統計資料の食中毒病因物質別発生件数では、令和2年度が386件で1位。令和3年度の速報でも、カンピロバクターやノロウイルスを上回り、現在のところ1位となっています。鮮魚・活魚の広域流通システムの発達に伴い、生食される魚の種類が増えたことで、今後もアニサキスによる食中毒が増加する可能性があるとも言われています。
死滅させるには十分な加熱か凍結
アニサキス症の予防としては、魚を購入する際、新鮮なものを選ぶことが大前提。丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除き、低温(4℃以下)で保存することが大切です。内臓を生で食べないこと、目視で確認してアニサキス幼虫を除去することも重要です。
アニサキス幼虫を死滅させるには加熱か凍結することで、一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、しょうゆやワサビを付けても死滅しません。中心部まで十分加熱するか、中心部まで完全に(マイナス20℃で24時間以上)凍結する必要があります。
特に、内臓に近い筋肉部分(ハラス)を調理する際は要注意。傷を受けると胃や腸壁への侵入性が著しく低下するので、なめろう等を調理する際は細かく刻むこともポイントです。
参考:
東京都福祉保健局「アニサキスによる食中毒」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/index.html
厚生労働省「アニサキスによる食中毒(アニサキス症)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.htm
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