新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛やテレワークで巣ごもり生活が長期化する中、運動不足を感じている人も多いはず。そんな中、運動不足は新型コロナに感染すると、重症化や死亡するリスクを高めるという米国での調査結果が発表された。
喫煙や肥満、基礎疾患よりも
このほど英国スポーツ医学ジャーナルで発表された報告によると、運動不足は喫煙や肥満、糖尿病をはじめとする基礎疾患などのよりも、新型コロナを重症化させるリスクが高く、死亡の確率の増加にも関連性が認められるという。感染症から身を守るには、日々の生活で運動を習慣化することが重要のようだ。
週150分以上の中程度の運動
調査は、昨年1月から10月までの間に新型コロナに感染した米国の約5万人の成人を対象。運動不足の人(1週間の運動時間が10分未満)は、米保健福祉省(HHS)が推奨する「週150分以上の中程度の運動」を行っている人と比べ、入院が必要となる割合が2.26倍、集中治療を必要とする割合も1.73倍で死亡する確率は2.5倍高かった。さらに、運動はしているが十分ではない人(週の運動時間が11分~149分)も、運動している人よりも入院、集中治療、死亡の確率はいずれも高かった。
この「運動水準」は自己評価に基づいたものだというが、HHSは6~17歳の子どもに対しては中程度から激しい運動を毎日1時間行うことを勧めており、それよりも年齢の高い子どもや成人は早歩きやランニング、または心拍数を高めるような中程度から激しい運動を週に150分は行うことを目指すよう促している。指針となる週150分は、1日に換算するとわずか22分で、長時間の運動は必要ないという。
1日わずか22分、ウオーキングなどから
調査を行った研究員よると、「スポーツジムに通って筋トレなど激しい運動をしなくても日々の生活の中で取り入れることができるレベルの運動で十分。適度な速度で1日30分、週5日間歩くだけでも大きな予防効果が得られる」という。「定期的な運動はあらゆる人が取り入れるべき薬」であり、運動の習慣化が重要な予防行動になると述べている。まずは社会的距離やマスク着用など、感染対策を行った上でウオーキングなどから始めてみてはどうでしょう。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】