新型コロナウイルスのワクチンに限らず、一般的に予防接種の前にはどのような食事や生活をすれば良いのか、今一度確認していきましょう。

まず、なぜワクチンを接種するのか確認しましょう。感染症にかかると体の中で抗体などが作られ、原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する「免疫」(抵抗力)が作られます。免疫ができると、再びその感染症にかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりします。このような体の仕組みを使って病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くしたりするため、ワクチンを接種するのです。

バランスの良い食事で栄養状態を良好に

ワクチンには生ワクチンや不活化ワクチンのほか、米ファイザーなどが提供しているウイルス抗原の遺伝子を用いたものなどがありますが、いずれも栄養状態が悪い場合、ワクチン接種によって体調不良や副反応が強く出ることがあります。予防接種の前は基本的なことではありますが、主食・主菜・副菜を揃えた食事を適量摂って体調を整えるようにしましょう。栄養をつけようとエネルギー過剰になると、かえって内臓脂肪が増えるため、好ましくありません。

ワクチンは摂取後すぐに抗体ができるわけではありません。数日から数カ月かかる(新型コロナウイルスの場合は約2週間)といわれていますので、当面、暴飲暴食や不規則な生活も避けましょう。

予防接種前日や当日の運動は控えめに

アスリートが上気道感染症(かぜ症候群)にかかりやすいことが知られているように、強度の高い運動は免疫を弱めます。ワクチン接種前はもちろん、接種直後も激しい運動を控えましょう。

一方で、ウオーキングなどの強度の低い運動を適度に行うことは、ウイルス感染細胞の拒絶に重要な役割を持つナチュラルキラー(NK)細胞を増やし、免疫力アップに役立ちます。また、接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部分は強くこすらないようにしましょう。

前日や当日はしっかり睡眠をとる

睡眠は成長ホルモンの分泌を高め、体の修復力や免疫力を上げてくれるので、しっかり休むことが大切です。寝不足でのワクチン接種は避け、接種した日は成長ホルモンが大量に分泌されるように早めに床に就き、深い眠りを心がけましょう。

過去にアレルギー反応があった人は注意

アナフィラキシーなど重いアレルギー反応は特定のアレルゲンに対して起こるものなので、他のワクチンで症状があったとしても、新型コロナのワクチンで反応が出るとは限りません。しかし、アレルギー体質の方は摂取後30分程度、医療機関や接種会場に待機し、様子をみるようにしましょう。過去に、他のワクチンでアレルギー反応がなかった方も15分程度は座って様子をみるようにしましょう。

新型コロナのワクチンは現在2回接種する形となっています。1回目の接種後に現れた症状の種類によっては、2回目の接種を受けない方が良いこともあります。

減量している人、摂食障害の人、基礎疾患のある人などはワクチン接種の前に医療機関に相談してみてください。必要以上に不安になる必要はありませんが、少しでも体調を整えて摂取することが望ましいですね。副反応について気になる方も医療機関にたずねるか、厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

【管理栄養士・今井久美】