<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

いよかん(伊予柑)は、明治時代に山口県で発見された柑橘です。主な産地は愛媛県(伊予の国)で、昭和に入ってから「伊予柑」と登録されたそうです。

適度な甘味と酸味があり、大きめの柑橘の中では果皮が比較的やわらかく、手でむけるのも特徴です。

ヘタが小さく、果皮は濃いオレンジ色でみずみずしくハリがあり、ずっしりと重いものを選びましょう。果皮は厚めの品種ですが、あまり厚すぎず、きめの細かいものが良品とされます。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
いよかんはパントテン酸、ビタミンC、疲労回復効果が期待できるクエン酸などを含んでいます。注目されるファイトケミカル(フィトケミカル)はフラボノイドの一種、ヘスペリジンです。温州ミカンの約20倍含まれています。

ヘスペリジンは砂じょう(果肉)にも含まれますが、果皮やじょうのう(果肉を包んでいる袋)、白い筋などに多く、抗酸化作用のほか、毛細血管を強くする作用があります。脳の神経細胞死の抑制や、脳内の酸化ストレス軽減なども認められています。

いよかん果汁を摂取すると、脳血管性の認知症を抑制できる可能性が示されたという研究報告もあります。

果皮に含まれる香気成分も、血管壁を強くし、高血圧の予防に有効とされています。果皮を湯船に入れると血行促進、疲労回復、リラックスなどの効果が期待でき、湯冷めしにくくなります。

期待される健康効果は、風邪予防、生活習慣病予防、認知機能低下抑制、疲労回復、整腸作用などです。

保存するなら
いよかんは比較的貯蔵性が高いですが、水分は徐々に減っていくので、早めに食べた方がジューシーです。ヘタを下にして冷暗所で保存します。冷蔵する場合は、乾燥しないように1つずつ新聞紙に包んでポリ袋に入れ、野菜室に入れます。

冷凍する場合は果皮をむき、じょうのうのまま保存用袋に入れて冷凍します。利用するときに半解凍でじょうのうをむくと、冷凍前にむくよりも果汁がこぼれません。そのまま食べるほか、凍ったままジュースにしてもよいでしょう。1カ月ほどで使ってください。

比較的水溶性食物繊維も多いので、マーマレードやジャムにも向きます。

【管理栄養士・高木小雪】