<栄養素を無駄なく摂る食べ方:種実編>

クルミはヨーロッパ南西部からアジア西部が原産と言われるクルミ科の種実です。紀元前7000年頃には食用にされていたと言います。日本にも自生し、縄文時代には栽培が始まっていたようです。

殻を除いたものは、加工の際に塩やオイルなどを添加していないものを選ぶと、オイルの酸化による胃もたれなどを起こしにくく、料理にも使いやすいです。色は濃い方が、風味が強い傾向にあります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
クルミはタンパク質、脂質、ビタミンE、ビタミンB6、葉酸、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、食物繊維などが多く含まれています。ポリフェノールも多く、抗酸化力が強いです。ローストした方がポリフェノールは増えますが、酸化しやすくなります。

含まれる脂肪酸の70%以上が多価不飽和脂肪酸です。割合はn-6(オメガ6)系が多いですが、ナッツの中では最もn-3(オメガ3)系を多く含みます。n-3系脂肪酸は抗炎症作用があり、脳の働きを活性化させます。認知症の予防やがん、糖尿病、動脈硬化疾患の低減が期待でき、アレルギー反応を抑制する機能性因子としても注目されています。

アミノ酸のトリプトファンも含まれ、睡眠の質の向上に役立ちます。脂質と食物繊維が多いため腹持ちが良く、補食として利用したり、砕いてゴマのように料理にプラスしたりできますが、エネルギーが100gあたり674kcalと高いので、食べ過ぎには注意しましょう。

中国では肌を滑らかにして髪を黒くするとされ、貴族の美容食として有名だそうです。乾燥種子は生薬名を「胡桃仁(ことうにん)」と言い、利尿、便秘、鎮咳、滋養強壮に使われます。

期待される健康効果は、疲労回復、風邪予防、ガン予防、貧血予防、滋養強壮、生活習慣病予防、血行促進、アンチエイジング、安眠、便秘予防、認知症予防などです。

保存するなら
殻付きのものは冷暗所で数カ月持ちます。多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、殻をむいたものは空気に触れないように密封し、冷蔵または冷凍保存します。におい移りを防ぐため袋を二重にし、1カ月ほどで使いましょう。使う時に軽くいると、香ばしくなります。

【管理栄養士・高木小雪】