<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

オリーブは、地中海沿岸原産と言われるモクセイ科のオリーブの木になる果実で、紀元前3000年頃から栽培されていたと言われています。日本へは安土桃山時代にキリスト教宣教師が持ち込んだと言われ、その後、地中海地方に気候の似た小豆島で栽培が盛んになりました。

グリーンオリーブ、ブラックオリーブがありますが、ともに同じ種類で、グリーンは未熟果、ブラックは完熟果です。生のままでは口中がしびれるほど苦味、渋味が強いそうですが、渋抜きをして塩蔵すると特有の香りが出ておいしくなります。グリーンはフレッシュな味わいで酸味、辛味があり、完熟したブラックはマイルドな味わいです。

果実と種子から搾った油がオリーブ油です。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
オリーブの果実は、グリーン、ブラックともに脂質、カルシウム、ビタミンEを多く含みます。さらにグリーンはβカロテン、食物繊維、ブラックは鉄が豊富です。ポリフェノールは未熟果に多く、熟すにつれて減少します。脂肪酸はオレイン酸が多く、LDLコレステロールの減少が期待できます。

オリーブに含まれる栄養素は、タンパク質と一緒に摂ると吸収率が上がるものが多いので、魚介類や肉、チーズなどと一緒に摂るとよいでしょう。また、ビタミンCを足すとビタミンACEが揃い、より抗酸化作用が強くなります。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、インフルエンザ予防、生活習慣病予防、美肌効果、アンチエイジング、抗炎症作用、利尿作用、便秘改善などです。

また最近の研究で、オリーブ果実エキスに運動効果を高める働きを持つ成分が含まれていることが分かったとの報告もあります。骨格筋量の増加やひざ関節の筋力が上がり、抗炎症作用もあることから、ひざ、腰や肩の痛みの緩和も確認されているといいます。

葉には果実以上にポリフェノールが多く、抗菌・抗酸化、殺菌・解熱作用のある成分も含まれていることから、ヨーロッパでは血圧降下作用のあるハーブとして使用されています。免疫機能に関する研究もされており、アトピー性皮膚炎などへの効果も期待されています。

保存するなら
一般的に、密閉容器に入っていることが多く、開封前は、直射日光を避けて冷暗所で保存します。開封後は酸化しやすいため、空気に触れないようにして冷蔵保存します。そのままの液体に漬けておくより、軽く水洗いしてから水けをきり、エクストラバージンオイルに漬けて密封した方がいいでしょう。

冷蔵すると白く凝固しますが、常温で液体に戻ります。オリーブオイルは凝固しても劣化しにくいオイルですが、いずれにしても早めに使いましょう。

真空パックになっているものは実がやわらかく、食味は落ちますが冷凍保存もできます。

【管理栄養士・高木小雪】