<栄養素を無駄なく摂る食べ方:種実編>

栗は中国や地中海、北アメリカ原産と言われるブナ科の種実です。縄文時代の遺跡から出土しており、主食に近い形で食べられていたようです。平安時代には栽培が始まっていました。

世界中に分布し、多くの品種があります。大きく分けて「日本栗」「中国栗」「ヨーロッパ栗」「アメリカ栗」の4つです。

栗は病害虫の被害にあいやすく、国内では日本栗しか栽培することができません。日本栗は、大きくて風味が良いです。甘味は少なめで渋皮がはがれにくかったのですが、最近では品種改良により、甘く渋皮がむきやすいものも出てきました。

中国栗は小ぶりですが、甘くて渋皮がむきやすく、天津甘栗でおなじみです。ヨーロッパ栗は、小ぶりで渋皮がむきやすく、輸入されたマロングラッセはこの種類が多いです。アメリカ栗は品質が良く、木材としての利用価値も高かったのですが、栗胴枯れ病によりほぼ壊滅したそうです。

表面の鬼皮がかたくハリがあり、ふっくらとして光沢があるもの、お尻の面積が大きくずっしりと重いものをが良品です。小さな丸い穴は虫が開けたものです。傷のあるものも避けましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
炭水化物、ビタミンB群、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維などが豊富に含まれています。また、栗のビタミンCはでんぷん質に包まれているため、加熱しても壊れにくいのが特徴です。

食物繊維が多いため、血糖値の急上昇を抑制し、ビタミンB群が代謝を助けます。少量で効率よくエネルギー補給ができるので、運動前の補食におすすめです。エネルギーが高めなので、食べ過ぎには注意しましょう。

渋皮にはポリフェノールの一種、タンニンが含まれています。渋皮煮にすると無理なく食べられます。

イガを「栗毛毬(りつもうきゅう)」、葉を「栗葉(りつよう)」と言い、生薬としても使われています。湿疹、火傷、かぶれの適応となり、入浴剤として使うとあせもに良いそうです。

期待される健康効果は、疲労回復、風邪予防、貧血予防、生活習慣病予防、便秘予防、ガン予防などです。

保存するなら
栗に含まれるでんぷんは、時間と共に糖に分解され甘くなります。生の栗は乾燥しやすいのでポリ袋に入れ、チルド室に入れておきましょう。1~2カ月は大丈夫です。数日で使う場合は水に浸して冷蔵庫に入れておくと良いです。

ゆでた栗は傷みやすいので、なるべく早く使いましょう。すぐに使えない場合は保存袋に入れて冷凍します。また、生で鬼皮が付いたまま冷凍し、使うときにゆでることも可能です。

【管理栄養士・高木小雪】