<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

スイカはアフリカ原産と言われるウリ科の果実的野菜です。種類が多く、大きさによって大玉種と小玉種に、果肉の色によって赤肉種と黄肉種に分けられますが、中にはオレンジや白色のものもあります。形は球形と長楕円形があり、表皮の色は緑と濃い緑の縦縞模様のほか、模様がなく白っぽい緑色のものや、縞模様が目立たない黒や黄色などがあります。

赤肉種
赤肉種

スイカは紀元前5000年には栽培されていたそうです。いつ日本に入ってきたかは不明ですが、江戸時代には栽培されていました。明治になり、アメリカやロシアから違う品種が入ってきて自然交配や品種改良がおこなわれ、現在に至ります。

黄肉種
黄肉種

つるの付け根が少しくぼみ、周りが盛り上がったものを選びましょう。つるが付いている場合は緑色のものが新鮮です。模様がはっきりして凸凹しているものは甘みが強い傾向にあります。

おへそは熟すと大きくなります。一般的な大玉スイカの場合は5円玉くらいが良いと言われ、大きすぎるものは過熟の可能性があります。カットしてあるものは、果肉がしっかりして種が黒いものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
スイカは水分が多く、赤肉種はβカロテンが豊富です。含んでいる糖の種類は果糖が多いため、スムーズに吸収されます。スイカは中心部分が甘いため、皮の近くに食べすすむとおいしさを感じにくくなりますが、塩をかけると対比効果で甘さが引き立ちます。

また、アミノ酸の一種であるシトルリンを含んでいます。シトルリンは、成長ホルモンの分泌を促進します。成長ホルモンは骨や筋肉を成長させますので、アスリートは積極的に摂りたい成分です。また、疲労物質の一つであるアンモニアを分解して排泄を助けるため疲労回復につながります。その他、血管拡張作用があるため血流が良くなり、集中力向上が期待できます。果肉よりも皮に多く含まれているので、皮は捨てずに漬物や煮物、炒め物などにして食べることをおすすめします。冬瓜のように使えます。

スイカの種には多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。炒って外側の殻をむき、ナッツのように食べられます。

果肉、果皮、種ともに利尿目的の生薬としても使われます。期待される健康効果は、疲労回復、むくみ改善、風邪予防、ガン予防、生活習慣病予防などです。暑気あたりにも良くスイカが食べられます。

保存するなら
スイカは追熟しません。早めに食べることをおすすめします。

冷やし過ぎると甘さを感じなくなります。丸のままのスイカは冷蔵庫に入れず、風通しの良い冷暗所に置き、食べる少し前に冷やしましょう。丸のままの場合は桶などに入れ、流水で冷やすとおいしくなります。冷蔵庫の場合は、食べる1時間ほど前に入れると良いです。

スイカは中心が一番甘いので、中心から放射状に切ると均等になります。カットされたものは傷みやすいので冷蔵庫で保存します。

食べきれない場合は冷凍保存ができます。食べやすい大きさに切って種を取り、保存袋に入れて冷凍します。カチカチに凍る前にバラバラにしておくと使うときに便利です。半解凍でそのまま食べたり、ドリンクに氷の代わりに入れたりしてもおいしく食べられます。練乳と混ぜて凍らせるとおいしいシャーベットができます。

民間療法に、腎臓病などの利尿目的で使われる「スイカ糖」があります。果肉を煮詰めて水あめ状にしたもので、3カ月ほど保存できます。はちみつのように利用でき、そのまま水や炭酸で割って飲んだり、パンに塗ったりしてもおいしいです。

【管理栄養士・高木小雪】