<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>
レタスは地中海沿岸から西アジア原産と言われるキク科の野菜で、古代エジプトで栽培されていた長い歴史があります。日本では奈良時代に栽培されていた記録があります。古名を「ちさ」、和名を「ちしゃ」と言います。切り口から白い液体が出る特徴があり、「乳草」から変化したようです。
日本でレタスと言えば一般的に「玉レタス」を指しますが、原種は結球していません。結球タイプの栽培が始まったのは明治以降で、一般に広まったのは第二次世界大戦以降です。
レタスは「かき(掻き)ちしゃ」「立ちちしゃ」「葉ちしゃ」「玉ちしゃ」の4種類に分けられます。
かきちしゃは、茎が長く伸び、生育する葉を下の方からかき取って(摘み取って)利用します。サンチュはかきちしゃの仲間で、日本で奈良時代に栽培されていたのもこのタイプです。
かきちしゃの仲間に、長く伸びた茎を食用にする「茎ちしゃ」があります。ステムレタスとも呼ばれ、薄く切って生で食べるほか、炒め物や煮物にも使います。ちなみにこれを乾燥させたものが「山クラゲ」です。
立ちちしゃは、縦に成長してゆるく結球します。コスレタス(ロメインレタス)などがあり、シーザーサラダによく使われています。葉がしっかりしているので加熱調理にも向いています。
葉ちしゃはリーフレタスの和名で、原種に近いものです。サニーレタスは品種名ではなくリーフレタスの一種で、昭和40年代に付けられた商品名が一般に定着しました。
玉ちしゃには、バターヘッド型と呼ばれる半結球するサラダ菜と、クリスプヘッド型と呼ばれる結球する玉レタスがあります。
玉レタスは葉の巻きがふんわりとして丸まり、軽いものが良品です。みずみずしく、切り口が変色していないものを選びましょう。芯は10円玉くらいの大きさがちょうど良いです。大きすぎるものや、葉がきつく巻いて重い物は繊維がかたく、苦味が強いことがあります。
結球しないタイプは葉先まで色がきれいでハリがあり、みずみずしいものが良品です。
◆主な栄養素と無駄なく摂るコツ
玉レタスとコスレタスは淡色野菜ですが、サラダ菜、リーフレタス、サニーレタス、サンチュは緑黄色野菜です。品種ごとに含まれる栄養素が違います。
玉レタスは葉酸を、コスレタスは鉄、ビタミンK、葉酸を多く含んでいます。緑黄色野菜であるサラダ菜、リーフレタス、サニーレタス、サンチュはビタミン、ミネラル共に豊富です。
レタスに共通する白い液体には、苦味のもととなる成分が含まれています。これはファイトケミカル(フィトケミカル)という植物が持つ自分自身を守る力で、抗酸化作用があります。
サンチュは特にマンガンが豊富で、カルシウム、ビタミンKも多く含まれています。マンガンは他のミネラルと協力して骨や関節の結合組織づくりにも関与するため、成長期にはしっかり摂りたい栄養素です。ナトリウムの排出を促すカリウムも多いので、焼き肉を包んで食べるのは理にかなっています。
レタスは「金気を嫌う」と言います。金属の包丁で切ると変色が早まるため、手でちぎるかセラミックの包丁を使うと良いでしょう。水にさらすと変色を抑えられますが、栄養素が流れ出てしまいます。
期待される健康効果は、ガン予防、風邪予防、生活習慣病予防、貧血予防、骨粗鬆症予防などです。
◆保存するなら
いずれもキッチンペーパーや新聞紙に包んでポリ袋に入れ、芯を下にして野菜室で保存します。芯の部分を少し切り落とし、断面に小麦粉を塗っておくと芯から水分が抜けるのを防げるので、2週間ほど経ってもシャキシャキのままです。使う時は外側から葉をはがします。
冷凍には向かないので、食べきれない場合は乾燥させます。芯を付けたまま四つ割りくらいにするか、葉を一枚ずつはがしてザルに並べて干します。3日くらいでしなしなになったら、保存袋に入れて冷蔵保存します。使うときはそのままスープに入れたり、水で戻して炒め物に加えたりします。1カ月ほどで使いましょう。
【管理栄養士・高木小雪】