<栄養素を無駄なく摂る食べ方:果物編>

マンゴーは、東南アジア原産と言われるウルシ科の果物で、1000種類以上の品種があるそうです。インドなどでは4000年ほど前から栽培されてきました。日本には明治時代前半に入ってきましたが、本格的に栽培が始まったのは1970年頃です。2000年頃から生産量が増加し、国内産が出回るようになりました。

日本に出回っている主な品種は「アーウィン種」と「カラバオ種」です。

アーウィン種は、熟すと果皮が赤くなるアップルマンゴーと呼ばれているものの一つです。国内産のほとんどがこの品種で、果肉に繊維質を感じ、濃厚な甘さとやわらかい酸味が特徴です。国内産の場合、完熟してから収穫できるため、輸入品に比べてとても甘いです。

アーウィン種
アーウィン種

カラバオ種はフィリピンが主な産地で、通年出回っています。ペリカンマンゴーとも呼ばれ、熟すと果皮が黄色くなります。甘味と酸味のバランスが良く、種の周りにしか繊維質がないので果肉がなめらかです。

カラバオ種
カラバオ種

マンゴーの王様と言われるアルフォンソ種は、主にインドで作られています。植物防疫法によって、この地域から生のマンゴーを日本に持ち込むことができないため、ピューレやパルプ、スライスなどの缶詰や冷凍加工されたものが輸入されています。

アルフォンソ種
アルフォンソ種

ヘタの部分が少し凹み、周囲が盛り上がっているものが良品です。アーウィン種は全体に赤く、カラバオ種は黄色が鮮やかで表面が滑らかなものを選びましょう。鮮度が落ちると、ところどころ茶色くなり、皮にたるみが出てしわになります。傷や黒い斑点があるものは避けます。

熟すと香りが漂い、少しやわらかくなります。粉(ブルーム)が落ちてツヤが出たら食べ頃です。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
マンゴーにはβカロテン、ビタミンC、葉酸、ビタミンE、カリウムなどが多く含まれています。未熟な青い果肉にはビタミンCが多く、熟して濃い黄色になった果肉にはβカロテンが多く含まれています。

マンゴーは、タンパク質分解酵素を多く含んでいます。肉と一緒に調理すると肉をやわらかくする効果があり有用なのですが、ゼラチンでゼリーを作るときに生のマンゴーを入れると固まりません。ちなみにカラギーナンや寒天なら固まります。

また、生薬としても使われています。「檬果(もうか)」と言い、鎮咳、健胃、利尿作用があります。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、消化促進、貧血予防、美肌効果、生活習慣病予防、腸内環境を整えるなどです。

果皮には接触性皮膚炎をおこす成分があるので、肌の弱い方は注意が必要です。

保存するなら
保存の適温は12~15℃です。かたい場合は常温で追熟させます。乾燥しないように1つずつ新聞紙に包み、ポリ袋に入れます。追熟を抑えたいときは8℃くらいの冷暗所で保存します。冷蔵庫では低温障害を起こしますので、冷やす場合は食べる直前に冷やしましょう。

冷凍する場合は食べやすい大きさに切って保存用袋に入れて冷凍します。利用するときは半解凍でそのまま食べたり、凍ったままジュースにしたりしても良いでしょう。1カ月ほどで使いましょう。

カラバオ種は乾燥させても良い香りが残るので、ドライにするのもおすすめです。スライスして様子を見ながら電子レンジで乾燥させます。天日干しする場合は、虫が付かないように網に入れるなど気を付けてください。乾燥したら保存袋に入れ、冷蔵庫で保存します。3週間ほどで食べましょう。

【管理栄養士・高木小雪】