<日本の色~富山県富山市 ます寿司>

富山県のおみやげと言えば、ます寿司を思い浮かべる人も少なくないだろう。おけのふたを外すと、まず緑のササの色と香りに感動する。1枚1枚ササの葉をめくると、オレンジ色のます寿司が顔を見せる。「ますのすしミュージアム」があると知り富山市内に足を向けた。

ササの緑とマスのオレンジが美しい「ますのすし」(撮影・滝沢徹郎)
ササの緑とマスのオレンジが美しい「ますのすし」(撮影・滝沢徹郎)

ます寿司は8代将軍徳川吉宗に献上し、名物となったと言われている。株式会社源が富山駅の誕生とともに、駅弁の販売を開始し全国で認知されるようになった。「ますのすし」は商品名で、「ますずし」から験担ぎの思いで濁点を外したという。広報担当の中村美香さんによると「ますのすしは押し機以外手作りです。押し機を使わないと均一に押せないので。魚も丸ごと一匹仕入れて下ろします。」とこだわりを教えてくれた。また「ササごと一緒に切り分けると、よりササの香りを楽しめます」とおいしく食べるアドバイスも。

地元ではお祝いやお盆、正月等、家族が集まった時に振る舞われる事が多いという。土産にます寿司を買って帰った。ササを開いていくと、初めてます寿司を見た3歳の息子が言った。「わあ、太陽みたいだね」。ます寿司の太陽にホッコリさせられた。【滝沢徹郎】

(2020年6月10日、ニッカンスポーツ・コム掲載)