<栄養素を無駄なく摂る食べ方:ハーブ編>

ミントはシソ科ハッカ属の総称です。世界各地で自生し、生命力が強く交雑しやすいため、多くの品種があります。「スペアミント系」と「ペパーミント系」の2種に大きく分類され、香りや効能もさまざまです。

スペアミント系は穏やかな清涼感で、ほんのり甘い香りがします。スペアミントは古くからある品種で、多くの品種の元になりました。主に食用や香料として使われ、世界最古のレシピと言われるメソポタミア文明の粘土板にも登場します。

スペアミント
スペアミント

ペパーミント系は強い清涼感が特徴です。日本のハッカはペパーミント系に属します。主に薬用や香料として使われてきました。中世ヨーロッパでは航海中の水の浄化に使っていたそうです。

ペパーミント
ペパーミント

いずれも葉が鮮やかな緑色でみずみずしく、ハリがあるものを選びましょう。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ミントと言えば爽快な清涼感ですね。香気成分はファイトケミカル(フィトケミカル)で、植物が持つ自分自身を守る力です。ミントの香気成分には、抗酸化をはじめ鎮痛、鎮痒、冷却、防腐、抗菌、殺菌、血管拡張、消化促進、抗炎症、利尿、抗アレルギー、鎮静、防虫などさまざまな作用があります。香りの強いペパーミント系にはファイトケミカルが多く含まれています。

香気成分は揮発性のため、生食が最も多く摂取できます。消化促進作用、殺菌作用があるため、食後にティーとして飲むのもおすすめ。乗り物酔いを緩和する効果も期待できます。ティーにする場合は長時間おかず、すぐに飲んだ方が損失は少なく済みます。しかし効能が強いため、大量に摂取すると体調が悪くなることがあるので注意しましょう。

ハッカは生薬としても利用されています。「薄荷葉(はっかよう)」と言い、解表、透疹、中枢抑制、血管拡張などの効能があり、市販されている健胃、感冒、鎮痛などの漢方処方製剤の成分になっています。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、消化促進、疲労回復、美肌効果、解毒、生活習慣病予防、精神安定などです。

保存するなら
香気成分は揮発性で、日が経つにつれ減っていきます。早めに使いましょう。

保存する場合はキッチンペーパーに包んでからポリ袋に入れ、野菜室に保存します。1週間ほど日持ちします。

冷凍する場合は洗って水けをきり、小分けにしてラップに包み、保存袋に入れて冷凍します。または、製氷皿にミントの葉を並べて氷を作ると、見た目にも涼しい氷ができます。1カ月ほどで使いましょう。

ドライを作る場合はザルに並べて1~2日干すか、電子レンジを利用します。電子レンジでは焦げることがあるので、数十秒ずつ様子を見ながら行ってください。乾燥させたら密閉できる瓶や缶に入れ、常温で保存します。ミントのみでティーにしたり、紅茶の葉に混ぜてもおいしくいただけます。

はちみつ漬けにするのもおすすめです。洗ってよく水けをきり、瓶などにはちみつと一緒に入れます。2~3日で香りが移ります。水や炭酸水で割ったり、ヨーグルトに入れたりすると、甘さと清涼感を楽しめます。1カ月ほどで使いましょう。

【管理栄養士・高木小雪】