病気や感染症の予防には、バランスの良い食事と休養が重要であることはよく知られています。血液検査で栄養状態を表す指標の代表的なものとして、血中のタンパク質とヘモグロビン濃度があります。タンパク質の指標は、どれくらい前の栄養状態を評価するかで項目はいくつかありますが、どの指標においても基本的に低くなると栄養状態が悪いということになります。

毎食必要なタンパク質

成長期はもちろん、大人でも体は常に作り変えられているので、血液中のタンパク質が不足すると体の構造が十分に作れなくなります。また、多くのホルモンや代謝に必要な酵素はタンパク質からできているので、体の機能を維持することも難しくなります。

大人の場合は、古くなったタンパク質が壊されても70%程度は再利用されますが、成長期は体を作っているので、常に供給していくことが必要です。夕食はもちろん、朝食にも昼食にも、必ずタンパク質の多い肉や魚、卵、大豆製品を摂るようにしましょう。

運動してなくても不足しやすい鉄

ヘモグロビンは赤血球の中の血色素で、数値が低い主な原因は鉄不足です。鉄が不足すると赤血球が十分に機能せず、酸欠になります。つまり、しっかり体を動かし、機能を維持するには、酸素を体中に運ぶ鉄が必要不可欠なのです(成人の男性は血液1dl中に13.0~16.6g、女性は11.4~14.6gが正常値)。

元々、鉄は吸収されにくい上、必要量を摂れていない人が多い栄養素です。特に、月経のある女性は毎月失われる量も多く、男性より貧血になりやすい状態にあります。

事故や手術などで大出血しない限り、貧血は徐々に進行していくので、本人が気付かないうちに貧血になっていることも多いようです。ダイエットをしようと食事量を減らしている方は、貧血になりやすいのでご注意ください。

次回は料理が苦手な方でも、自分で栄養状態を改善できる方法を紹介します。

【管理栄養士・今井久美】