前回のコラムで脂質の種類を説明しましたが、どの脂肪酸をどうやって摂るのが望ましいのか、説明します。

飽和脂肪酸は、バタ-やラ-ド、肉の脂肪の部分に多い常温で固形の脂肪です。うま味もあり、口に入れると溶けて風味が良いので、脂っこいものが好きな人は飽和脂肪酸の風味が好きな人も多いでしょう。摂りすぎる動脈硬化の原因になるといわれていますが、食事をおいしく食べるためには、減らし過ぎても良くありません。

動脈硬化を予防するには、抗酸化作用のあるβカロテン、ビタミンCの多い野菜類と一緒に摂ると、食物繊維も多く摂れます。脂っこいものを食べる時こそ野菜をしっかり食べれば、脂質の過剰摂取を防ぐことができます。

一価不飽和脂肪酸の代表は、オリ-ブ油やサフラワ-油、マカダミアナッツなどに多く含まれるオレイン酸です。不飽和度が低いために酸化されにくく、動脈硬化には予防的に働きます。加熱しても酸化されにくいので、加熱料理にも向いています。

「飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸」の割合は「3:4:3」が望ましいとされており、一般的に調理で使うサラダ油には、n-6系の多価不飽和脂肪酸が多いので、ドレッシングには一価不飽和脂肪酸が多いものを選ぶと良いでしょう。オリ-ブオイルは、ポリフェノ-ルやビタミンEも多く含まれており、抗酸化作用があります。緑色の濃いフレッシュタイプの方が苦みはありますが、ポリフェノ-ルが多く含まれます。

多価不飽和脂肪酸は細胞膜の成分でもあり、体に必要ですが、二重結合が多く、酸化しやすいのが難点です。リノ-ル酸などのn-6系脂肪酸よりも、αリノレン酸、魚に多いEPA、DHAのn-3系の脂肪酸による抗炎症作用、抗アレルギ-作用、がんや糖尿病、動脈硬化疾患の低減が期待され、n-3系脂肪酸の摂取が推奨されています。

魚の摂取量が減っていることからn-3系脂肪酸の摂取量が少ないと考えれば、魚を食べるように意識することで摂取量を増やせます。野菜嫌いな人ほど、魚を食べてもらいたいですね。

【管理栄養士・今井久美】