試合や競技の前の緊張感はとても大きく、アスリートにはストレス対策は重要です。ストレスの大きな時に効果的な栄養素は「心を落ち着かせる、イライラしないために摂りたい食べ物、栄養素」に書きましたが、それらを含むストレスに強くなるおすすめ食材があります。

まず、ストレスを感じるのは脳ですが、それに対応する脳内伝達物質としてセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンがあります。

セロトニンは、精神をリラックスさせ、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌を調節します。また、反復するような運動機能に関与し、呼吸を整える働きもあります。

ドーパミンはモチベーションを高め、記憶力や運動機能を高めます。分泌されると良い気分になり、快楽を得ることができます。

ノルアドレナリンは交感神経系に働き、血圧や血糖値を上げ、やる気を高めます。分泌され過ぎると攻撃的になりますが、分泌量が減ると、やる気や集中力が低下してしまいます。

これらの脳内物質がバランスよく分泌されると、緊張をやる気に変え、程よくリラックスしながら試合や競技に臨めるようになるので、不足しないよう、豊富に含む食材をとりたいところです。

ドーパミンとノルアドレナリンは、アミノ酸であるチロシンから合成されます。チロシンはチーズや大豆製品、マグロやカツオなどの魚類、ナッツ類にたくさん含まれます。また、小麦タンパクに多く、糖質と一緒に摂ると吸収率が上がります。

食欲がない時や、これ以上食事量を増やせない時は、かつお節や粉チーズ、きな粉などをプラスすると、チロシンの摂取量を増やせます。お麩は小麦タンパクの塊なので食べて欲しい食材で、汁物の具材にしたり、パンの代わりにラスクにしたりすると食べやすいでしょう。

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られます。増やす食事については、「疲労もさまざま、種類と回復のための対策まとめ」を参考にしてください。

【管理栄養士・今井久美】