「食べても食べてもやせているので太りたい」と悩みを抱えるジュニアアスリートやその保護者がたくさんいます。成長期というのは、体を維持するエネルギーに加え、体を作るエネルギーが必要です。さらに基礎代謝も高く、運動での消費量も多いわけですから、成長が終わった大人と比較すると、ずっと多くのエネルギーが必要なのが分かります。

筋肉を増やすにはタンパク質が必要ですが、日頃、タンパク質は分解・再合成を繰り返しているので、そのためにもエネルギーが必要です。タンパク質の過剰摂取は、腎臓や肝臓に負担がかかる上、尿中にカルシウムの排泄量を増やし、骨密度を低下させてしまうという弊害もみられます。

脂肪をつけるためエネルギーの多い脂質を増やす、脂肪がつきやすいように食べてすぐ寝るという方法を試す方もいますが、脂肪は消化・吸収に時間がかかり、たくさん摂ると下痢しやすくなるというデメリットもあります。翌朝、胃もたれや胸焼けがし、逆に食欲が落ちて食べられなくなります。

炭水化物でのエネルギー摂取が重要

これらのことからも、やはり炭水化物でのエネルギー摂取が重要です。骨を作るのも、血液を作るのも、材料があっても、それを作るためのエネルギーが必要なのです。

主食であるご飯、パン、麺、炭水化物の多いイモ、豆、根野菜などをいかに多く摂取できるかが、体重増加のカギとなります。小麦粉や米粉、片栗粉を使った補食もたくさん紹介されています。運動前後であれば、甘いチョコレートやアイスクリームも素早くエネルギーに使われ、使ったグリコーゲンの補充にも有効です。

おにぎりはたくさん作って冷凍しておくのも良いですね。小さめのサイズで作っておいて、食べる分だけ電子レンジで解凍して持参し、ちょこちょこ食べれば摂取量も増やせます。イモケンピやせんべいも食べやすいですね。

食べても食べても太らないのは、大人からすれば非常にうらやましい貴重な時期です。「期間限定」ですので、頑張ってエネルギーを摂りましょう。

【管理栄養士・今井久美】