ケトン食。聞いたことはありますか?

ケトン食は、血液中のケトン体が増加するような高脂肪・低糖質の食事法のことで、元々はてんかん患者の食事療法として用いられてきました。

ケトン体とは、体内で脂肪が酸化して作られる物質。ケトン体はアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸などになってから、骨格筋でエネルギーを作ります。

さて、ケトン食が一般に知られるようになったのは、「高脂肪・低糖質食は減量に効果がある」ということから。脂質の多い食事を続けると、脂肪酸化能力が高まり、脂質を早くエネルギーとして利用できるようになるため、マラソンやトライアスロンなど長時間、運動を続けるスポーツ選手は、糖質でなく脂質を運動時のエネルギーに使うことで、こまめに栄養補給しなくてもパフォーマンスを発揮できるのです。「脂肪を利用しやすい体」と聞いて、魅力的に感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、減量には糖質、脂質、タンパク質のどれを減らしても、総エネルギーが減れば、減量効果に差がないと報告されています。また、高脂肪食は食欲が低下し、より摂取エネルギーが減りやすいため、減量しやすいということも報告されています。

ケトン食のデメリットとしては、高脂肪食により動脈硬化が進展しやすいこと、ケトン体の増加により、血液が酸性に傾くアシドーシスの危険性があることなどがあげられます。自己流の判断で、むやみやたらに取り入れるのは危険です。

瞬発力が必要なパワー系のスポーツにはむいていません。現段階で取り入れるとしたら、成人であること、短期間にすること、専門家の指導に沿い、血液検査などでモニタリングすることが必要です。今後の研究に期待ですね。

【管理栄養士・今井久美】