成績が上昇したり、明確な目標を持つことで、子どもの自己肯定感が高まることが、このほど東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究プロジェクトによる調査で明らかになった。

 2015年から始まったこのプロジェクトでは、小学1年生から高校3年生の親子約2万1000組を対象に、定期的に親子の意識・行動の変化を調査。今回の「成績」と「自己肯定感」との関係は、「勉強」を「スポーツ」に置き換えても、同様の結果として見ることができるだろう。

<主な結果内容>

2年の間に成績が「下位→上位・中位」に上昇した子どもは、「ずっと下位」の子どもに比べて、自己肯定感が「ずっと肯定」の比率(29.2%>20.9%)や、「否定→肯定」へと肯定的に変化した比率(22.0%>17.5%)が高い。

勉強が「嫌い→好き」に変化した子どもは、勉強が「ずっと嫌い」の子どもに比べて、自己肯定感が「ずっと肯定」の比率(29.2%>20.9%)が高く、他の子どもに比べて「否定→肯定」へと肯定的に変化した比率(20.7%)も高い傾向がある。

将来の目標が「不明確→明確」になった子どもは、将来の目標が「ずっと不明確」の子どもに比べて、自己肯定感が「ずっと肯定」の比率(29.2%>16.9%)や、「否定→肯定」へと肯定的に変化した比率(26.3%>16.7%)が高かった。

 自己肯定感を高める要素としては、教師や友人、保護者など周囲の人間関係が重要ということも分かった。学校では、「自分のクラスに愛着を感じるようになった」子ほど自己肯定感は高く、家庭においては、「努力する効果」を感じている保護者の子どもほど高いという結果が見て取れた。

 ただし、自己肯定感をずっと維持している子ども(「ずっと肯定」)は約3割にとどまり、約半数の子どもが「肯定→否定」「否定→肯定」と変化。そこは、勉強の成績だけでなく、それに対する意識が関連しており、子どもへの動機づけや、周囲の働きかけが大事だとも言える。