亜鉛は骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに2000mg程度存在する、さまざまな酵素の構成要素となるミネラルです。味を感じる味蕾(みらい)細胞の産生に必要です。

 タンパク質の代謝を助ける働きもあり、皮膚や髪を健康に保つためにも必要です。ビタミンCと結合してコラーゲンを作るため、傷の修復にも不可欠。ケガをした時は、ビタミンCとともに多く摂るといいでしょう。

 また、汗の中にもたくさん含まれており、発汗量が増えると、体外へ流出する量も増加します。スポーツなどでたくさん汗をかく時は、多めの摂取を心がけましょう。

 亜鉛は体内で合成できないため、食事から摂らなければなりません。タンパク質が豊富な食品、肉類、魚介類(特に牡蠣)、大豆製品、チーズ、卵黄、ナッツ類、ココアなどに多く含まれています。

 亜鉛不足の症状として、味覚障害、皮膚炎、慢性下痢、低アルブミン血症、血球減少、免疫機能障害、神経感覚障害、成長遅延、性腺発育障害などがあります。

 一方、急性亜鉛中毒では胃障害、めまい、吐き気がみられます。継続的に過剰摂取すると、銅や鉄の吸収阻害による銅や鉄欠乏が起こり、それによって貧血、免疫障害、神経症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こる恐れがあります。サプリメントは過剰症のリスクがあるため、過剰症の心配のない食事から摂るようにしましょう。

参照:日本人の食事摂取基準2015年度版

【管理栄養士・今井久美】