もうすぐお盆です。お盆は正式には「盂蘭盆(うらぼん)」といい、先祖の霊を供養する仏事です。明治時代以前に旧暦を使用していた頃は7月15日を中心として13~16日に行われていましたが、新暦が使われるようになるとお盆の時期がちょうど農繁期と重なるため、ひと月遅れの8月13~16日に行う地域が多くなりました。現在も地域によって時期は異なります。

 お盆には先祖の霊が家に帰ってくると考え、「盆棚」「精霊棚」などと呼ばれる祭壇を用意して、季節の野菜や果物、精進料理のお膳などさまざまなものをお供えします。キュウリとナスに麻がらや割り箸で足をつけ、馬や牛に見立てた「精霊馬」もそのひとつ。馬は足が速いので「馬に乗って早く来てください」、牛は足が遅いので「ゆっくり帰ってください」という気持ちをこめています。

 さて、なぜお盆の間には「精進料理」を食べるのでしょうか。

 先祖とともに生きてきた動物に感謝して肉や魚を使わないという説、仏教の教えでは生き物の殺生が禁じられているからなど諸説があります。そのため、だしはコンブやシイタケで取り、具材は野菜や豆、海藻など、タンパク質は豆腐やゆばなどの大豆製品や生麩などを使用します。野菜の天ぷらや煮物を用意する家も多いようです。

 飾り物や料理にも、先祖を敬う気持ちがこめられているのですね。お盆には感謝の気持ちをこめてお迎えしたいものです。