春、新しいスタートを切る季節が今年もやってきます。それと同時に長く続いてきたお弁当生活を卒業されたご家庭もあれば、これからお弁当生活が始まるご家庭もあるでしょう。作る側としては毎日のお弁当はちょっと大変だなぁと感じるかもしれませんね。

我が家は、娘の高校進学と同時にお弁当生活が始まりました。これまで栄養バランス抜群だった学校給食がなくなり、私は一気に1日を通して子どもの食事バランスを考えることになりました。できるだけ3食のおかずとお弁当の中身がかぶらないようにしたり、残り物のアレンジを考えたりと、食材の繰り回しや組み合わせを考えることに忙しい毎日でした。

特にハードなスポーツをしている成長期の子どもの3食の内の1食を、あの限られた容量のお弁当箱の中にバランスを考えて詰めることには随分頭を悩ませました。

アスレシピの「部活弁当選手権」企画をきっかけにお弁当の写真を撮るようになり、栄養バランスを後から見返せるようにしていたのですが、1日1日とお弁当の写真が増えていくことが楽しくなり、いつしか写真を撮ることがお弁当作りのひとつのモチベーションになっていきました。

「部活弁当選手権」に応募したお弁当
「部活弁当選手権」に応募したお弁当

高校を卒業し、進学が決まった娘に高校3年間で私が撮りためたお弁当の写真をフォトブックにしてプレゼントしました。とても喜んでくれて、「あーこれ〇〇の試合の時のだ」「この時ケガをしていたよね」など、お弁当のことも、それを食べた時の情景も思い出せるほどだったことに私はとても驚きました。

娘にプレゼントした高校3年間のお弁当フォトブック
娘にプレゼントした高校3年間のお弁当フォトブック

人の記憶は見ることや聞くことだけよりも、実際に触れたり嗅いだりした感覚や体験を伴う方がより強く記銘されると言われています。味わうという味覚を伴っていることで、その時の思い出が鮮やかによみがえるのかもしれません。

娘はお弁当を食べたときの情景までよく覚えていて驚きました
娘はお弁当を食べたときの情景までよく覚えていて驚きました

今回娘からフォトブックを借りて見ると、最後のページに私が高校最後のお弁当に付けたメッセージ付箋が貼ってありました。娘がこれを残しておいたことに驚くと同時に、私にとっては嬉しい出来事でした。

高校最後のお弁当に付けた、娘へのメッセージ付箋
高校最後のお弁当に付けた、娘へのメッセージ付箋

数年経った今、時折自分でお弁当を作るようになった娘は、フォトブックの写真を参考におかずを作っていることがあります。さながらお弁当の見本帳のように使ってくれているのも嬉しいものです。

私にとってのお弁当作りを続けるコツは、自分にとってやりやすく、いかに楽しくできるかということでした。お弁当の記録写真が貯まっていくのが私の楽しみだったのですが、それをフォトブックにしたことで、あの日、おかずに託してお弁当箱に詰めていた応援の気持ちも懐かしく思い出して見返せるようになりました。

今は一旦お弁当作り生活を卒業し、また1年後に息子のお弁当生活が始まるのを待っています。次回もまた楽しく続ける方策を見つけて、キッチンから子どもの競技を応援し続けたいと思っています。

【アスレシピサポーター=神奈川県在住・稲葉祐紀子】