<キッチンは実験室(53):小麦粉の科学(上)>

皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。今回から2回にわたって「小麦粉の科学」をお伝えします。なぜ小麦は、お米と違ってそのまま食べないのか、薄力粉、強力粉は何が違うのか、おさらいも含めて確認していきましょう。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

お米は「粒」、小麦は「粉」の理由

お米は「米粉」の状態より粒で、炊飯して食べることの方が多い一方、小麦粉は粒というより、「小麦粉」を調理して食べるのが主流です。不思議に思ったことはありませんか?

その答えは、小麦の作りにあります。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

小麦は皮の部分と、中身の胚乳、胚芽の3つの部分で構成されています。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

表皮(15%)=いわゆる皮の部分。お米でいう「もみがら」。ふすま粉として使われる。低糖質で食物繊維を多く含む。糖質制限パンなどに応用される。
胚乳(83%)=でんぷんとタンパク質を含み、小麦粉の主成分。一般的な白い「小麦粉」は、この胚乳部分を粉にしたもの。
胚芽(2%)=発芽する部分なので脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンを含む。全粒粉に含まれる。

なお、「全粒粉」とは表皮・胚乳・胚芽のすべてを粉にしたものです。

うるち米やもち米などお米の場合、中身の胚乳が皮より硬いので、簡単に皮をとることができます。これが脱穀の過程で、粒として食べられる理由です。

対して小麦の場合は皮が硬く、中身の胚乳が柔らかく、皮が中の方まで食い込んでいるため、むこうとすると中身の胚乳もつぶれてしまいます。そのため一度、粒ごとひいて丸ごと粉にしてから、ふるい分ける工程を踏んでいるのです。

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

何が違う薄力粉と強力粉、中力粉

「小麦粉」とは、小麦の粉の総称。いくつか分類する方法がありますが、最もオーソドックスなのが「薄力粉」「中力粉」「強力粉」です。

パン作りをする方は「春よ恋」「ゆめちから」など強力粉の名称を聞いたことがあると思います。薄力粉、強力粉はそもそも小麦の品種が違います。品種によって、タンパク質などの栄養価や味が異なるのです。

「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の最たる違いは「グルテン」の含有量。粉に水を加えて練り合わせた時に、どれくらい粘弾性のある生地になるかという基準です。粘弾性の元となるのは、小麦粉の中に含まれる2種類のタンパク質(グリアジン、グルテニン)で、水を加えて練り合わせることで網目状のネットワークを持つ「グルテン」になります。

薄力粉=グルテン含有量6.5~9.0%
 →さっくりふわふわした食感に(ホットケーキ、パウンドケーキなど)
中力粉=グルテン含有量7.5%~10.5%
 →コシもあり、のど越しもいい(うどんなどに)
強力粉=グルテン含有量10.5~13.5%
 →もちもち、しっかり、噛みごたえのある食感(パン、パスタなど)

触れば分かる薄力粉と強力粉、小麦粉の性質と違い/キッチンは実験室(53)

グルテンの含有量はわずかな違いではあるものの、それによってパンのふくらみ、料理の食感などに差が出るのです。あまり硬くない、ふわふわのパンを作りたいときは、強力粉に薄力粉をブレンドすることもあります。

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