<ママ特派員・サポーターから>

高校3年の娘がこの春卒業します。

中学校の部活で始めた剣道を高校でも続けてきました。これまでの集大成として迎えるはずだった高3の活動は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って思い描いていたものとは大きくかけ離れ、失った時間のあまりの大きさに親として掛ける言葉も見つかりませんでした。

テレビやネットで流れたインターハイの中止の報道は、同世代の多くの子どもたちにとって、応援の言葉ですら受け止められない心情だったのではないかと想像します。

部活での活動量を考えながら、毎朝お弁当や補食を作って持たせ、送り出してきた毎日が母として忙しくもありましたが、とても楽しく尊い時間だったと身にしみました。

登校できない時間、不全感の残る生活、感染症をにらみながらの進路への準備、理不尽と不条理を感じながらの毎日を送る娘と仲間たちに、何か応援できることはないかと考えていたのですが、今回はこれからの生活へのはなむけの意味を込めてクッキー缶を作ってみることにしました。

感染症が流行っているため手作りを贈ることは躊躇しましたが、食べずとも目で楽しんでもらえるように、試合で着る道着をアイシングで描くことにしました。

願いに共感してくださったアイシングの先生が、よりリアルになるようにアドバイスをしてくださり、大人の片手に乗るサイズの缶に、たくさんの思い出が詰まったクッキー缶ができあがりました。

子どもたちの未来は可変だと思っています。この1年悔しいことだらけで、なぜ自分たちだけ? と恨めしく思うようなネガティブな感情が沸き上がってくることもたくさんあったと思います。けれど、きっと彼らの向かう先には、その思いも含めて今までスポーツを通して培ってきた力によって、花を咲かせるチャンスがたくさんあると信じています。

未来のための今を大切に、母はこれからも子どもたちの「いただきます」を楽しんで支え続けたいと思っています。

全国の高校3年生の皆さん、保護者の皆さま、ご卒業おめでとうございます。

【ママ特派員=神奈川県在住・稲葉祐紀子】