<塩鮭専門店:昭和食品(上)>

 秋の味覚の代表格「サケ」。築地場外には「生鮭」ではなく、天然の「塩鮭」専門店、昭和食品へ行ってきました。

 築地場外中通り、前回伺った佃煮専門店「諏訪商店」の向かい側。世界を飛び回るライターから転身して30年弱、いまや3代目社長の佐藤友美子さん(56=通称しゃけこさん)に話を聞きました。

しゃけこさんこと昭和食品の佐藤友美子社長と塩鮭

 ここで扱っているのは、時鮭、秋鮭、紅鮭。伝統的な塩漬け法の岩手の南部鼻曲がり、新潟の村上塩引鮭、カナダの超辛口紅鮭など入手が難しいマニアックなものもあり、築地卸売市場のほか、現地からも直接取り寄せています。

 しゃけこさんいわく「鮭は庶民の魚」。確かに、嫌いという人に会ったことがありません。日持ちしない魚の保存性を高めるために作られた塩鮭は、塩のうま味がついているので、焼くだけで食べられる便利な食材。長らく日本の朝の食卓は「ごはん、みそ汁、鮭」が定番でした。

 食べやすいだけでなく、栄養価も抜群。青魚に多いDHA、EPAといった不飽和脂肪酸、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEなどを豊富に含んでおり、血流を良くし、代謝を高め、カルシウムの吸収を促進してくれます。庶民の味方の鮭は、アスリートに必要な栄養素の吸収、代謝を助ける効果も持っているのです。

時鮭、秋鮭、紅鮭で特徴違う

 種類ごとに特徴を知ると、もっと面白くなります。時鮭はふっくらとした焼き上がり、秋鮭はあっさりした、いかにも日本的な鮭で、紅鮭はカナダなどの長い川を上る種類なので、筋肉隆々なんだそうです。

 それぞれ回遊ルート、帰り着く川も違い、店頭に並んでいるものは、生まれてから4年後。これまで気にも留めず購入していた塩鮭に、そんなストーリーがあったのかと、恐れ入る気持ちです。

切り分けられた塩鮭

 ましてや、切り身しか見たことない私にとって、鮭の解体ショーはレアものです。塩漬けされた鮭は平均60~70センチの大きさで、この日のものは65センチ。これをだいたい25切れになるよう切り分けます。切り方も要望に添って、斜めだったり、真っ直ぐだったり、フルオーダーで対応してくれます。

1切れずつラップ、再冷凍も可能

 「贈答品や家庭用で、1匹まるまる購入する常連の方も多いけど、お試しで切り身1枚からも購入できます。1匹ずつ味も塩加減も違うから、いろんな味が試したい方にはおすすめです」(しゃけこさん)。

 取材している間に、「超辛を食べたら、ほかの鮭を食べられなくなっちゃったのよ。近くで売ってないからね」と店頭に来る方、「超辛の鮭、おいしいよね~」と話しながら店の前を通り過ぎる若い女性らを目の当たりにし、鮭へのこだわりを持つ方が多いんだと再認識しました。

 でも、こんな大きな鮭を買ってどうするんだ? と思いきや、塩鮭は食塩の脱水作用で水分が減り、うま味が凝縮するので、生の鮭よりも冷凍保存が簡単だし、再冷凍もできるとのこと。「切り身を1切れずつラップして冷凍庫に入れて、家族で少しずつ食べていく方が多いですよ」としゃけこさん。そういう手もあったのか…思わず丸ごと1体、買いたくなりました。

昭和食品
 

HP:tsukijisalmon.com
住所:東京都中央区築地4丁目13番14号
電話番号:03-3542-1416
営業時間:6:00~15:00
休業日:日曜・祝日・市場休市日