前回のコラム「頑張りたくても頑張れない、タイムがでない 「貧血の初期症状」を見逃すな」では貧血の前兆についてお話ししました。今回は、アスリートはなぜ貧血になりやすいのかについて説明していきます。

最も多くなりやすい「鉄欠乏性貧血」

貧血の中でもアスリートが陥りやすいものとして「鉄欠乏性貧血」があります。激しいトレーニングをして身体の中の鉄の需要が増える一方、汗や消化管からの鉄の排出量が増えて需要と供給のバランスが悪くなり、鉄の不足が続くことで起こります。発汗量が増える夏は特に気を付けなければなりません。

鉄欠乏性貧血になると持久力が下がります。如実に記録が低下したり、後半にバテて最後まで戦い抜けなかったりと、パフォーマンスに影響が出ます。いつもできていた練習ができなくなったりもします。

陸上競技の長距離や新体操に多いとされていますが、野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、剣道などあらゆるスポーツの選手に見られます。特に身体の成長に伴って鉄の需要が増える成長期、小学校高学年から中・高校生や、月経の影響もあって女性がなりやすいといった特徴もあります。

アスリートが鉄不足になる原因

では、鉄が欠乏する原因を掘り下げていきましょう。

(1)鉄の喪失
激しい運動をすることで汗と一緒に流出したり、消化管における出血があったりすることで体内から鉄が失われる。

(2)鉄需要の増加
トレーニングによって筋肉量が増えるとともに血液量も増加するため、必要とされる鉄が増え、体内の鉄が不足する。

(3)食事からの鉄の摂取不足
好き嫌い、食欲不振、減量によるエネルギー制限などにより、食事量が減少し、十分な鉄を摂取できないため不足する。

(4)溶血の発生
ジャンプからの着地などの動きで足底に繰り返し衝撃が加わり、血管内で赤血球が破壊され、鉄が減少する。剣道や陸上競技に多いとされている。

スポーツをすることで鉄の重要度が増すことがわかるでしょう。「アスリートは貧血になりやすい」ということを頭に入れて、スポーツをしない人よりも食事内容、食事量を意識することが大切になります。「夏バテだと思っていたら貧血だった」ということもあるので、注意が必要です。

今回は鉄を多く含む植物性の食材、厚揚げを使用した「厚揚げとナスのピリ辛炒め」を紹介します。夏はナスがおいしい季節。食欲の落ちる夏は、ピリ辛味にするとご飯が進みます。

厚揚げは、豆腐を厚く切って油で揚げたものです。暑い時期は揚げ物などの調理が少なくなりますが、すでに油で揚げてある厚揚げはエネルギー確保に役立つ食材です。逆にカロリーを落としたい場合は、湯通しなどで油抜きをしましょう。

管理栄養士・舘川美貴子