「最近、便秘気味でお腹が重いです。どうしてですかね? そんなに食事も変わってないし、野菜もヨーグルトも食べているのに」

寒くなる季節を迎えると、便秘になる選手が多くみられます。

食事や生活習慣を聞き取っていくと、「そういえば、寒くなってから朝飲んでいた水を飲むことをやめたし、練習中の水分も少なくなって、夏より小さい水筒に変えた。夏ほど水分補給の意識がなくなったかも」と、日常生活でも水やお茶などの飲水量が少なくなっていることが見えてきます。

飲水量が減る原因

飲水量が少なる原因は、次のものが挙げられます。

(1)気温が低くなったため発汗量が少なくなり、飲水量が減る
(2)練習時間が短くなったため発汗量が少なくなり、飲水量が減る
(3)夏は熱中症の意識が強く、部活動や普段でも積極的に飲水していたが、寒くなり意識が低くなったこと飲水量が減る

しかし、寒くなったとはいえ、この季節は意外に日差しも強く、乾燥しています。上記の理由などで飲水量が減ると水分不足になり、便秘を引き起こしていることが考えられます。便秘の原因には食生活や生活習慣、ストレスなど数多くありますが、水分不足も原因の1つなのです。

排便時の水分の役割

人間の体の約60%は水分でできています。水は人間が生きていくために必要不可欠なものです。排便に関しても、水の役割は重要です。排便時の水分の役割を考えてみましょう。

食べ物は口から入り、胃と小腸で消化・吸収され、その残りが大腸に運ばれます。大腸に到達した食べ物の残りは、最初は水分を多く含んだ液体状です。その後、腸管を通る間に腸壁から水分が吸収されて、直腸に到達するまでの間に固形物として形が整います。

腸管からの水分吸収は小腸から80%、大腸からが20%です。水分不足になると腸の働きが悪くなり、便の水分量が減ってしまい、便が硬くなる原因になります。便秘になると、大腸に溜まった便がさらに水分を吸収してしまうことでより硬くなり、苦しむことになります。

水分不足が便秘の原因かも

また、食物繊維は便の水分が多い場合、その水分を吸って大きく膨らみます。そのため、便のカサが増えることで腸が刺激され、腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、スムーズな排便につながります。しかし、体内の水分が少なければ、便のカサが小さくなってしまい、便秘の原因となります。

寒くなる季節も夏ほどとは言いませんが、水分摂取の意識をしっかりと持っていないと、脱水を引き起こすことになります。自分では水分を補給したつもりでも、足りていないことの方が多いので毎日こまめに水分をとるようにしましょう。

今回は寒くなった季節にぴったりの「鶏の肉団子スープ」を紹介します。プルっとした肉団子と野菜は食べ応えがあり、温かいスープは寒い時でもおいしく飲めて、体が温まります。スープなどの汁物は、水分補給にも役立ちます。

今回は味付けにオイスターソースを使いましたが、豆乳や牛乳、カレーなど色々と“味変”できるので、お好きな味でお試しください。

管理栄養士・舘川美貴子