今年度から、沖縄県名護市を拠点とするデイゴ ラグビースクール(以下デイゴRS、https://deigookinawarfs.com/)のメンバーの1人として定期的に栄養セミナーを行うことになり、5月に初めて選手と保護者の皆さんに対面でセミナーを実施してきました。

デイゴRSの銘苅(めかる)信吾代表は「自分自身で考え、選択できる子どもを育てたい」という思いを持っており、私もそれに共感しています。このセミナーも、選手が主体的に考えられるような内容を盛り込みながら進めました。伸び伸びと育っている子どもたちと朗らかな保護者の皆さんと過ごした充実の2日間。今回は、そのセミナーの模様をお伝えします。

デイゴRSのセミナーの様子。左前方が金子さん
デイゴRSのセミナーの様子。左前方が金子さん

2日間に分けて「栄養と食事の基本」

2023年度第1回の栄養セミナーのテーマは「栄養と食事の基本」。初日は小学1~4年生とその保護者、2日目は小学5~6年生と中学生とその保護者に分けて、下記の3部構成で行いました。

選手向け栄養セミナー
グループワーク(ジュニアラグビー選手の献立作り)
保護者向け栄養セミナー

それぞれどのようなことを実施したのか、簡単に説明します。

選手向け栄養セミナー

「ジュニアアスリートの栄養・食事の基本」について講習。皆、熱心に聞きながらこちらの問いかけにもしっかり答え、積極的に参加する姿が見て取れました。

グループワーク

前半の講義の内容を踏まえ、学年ごとにグループとなり、実寸大の料理カードを使って献立を作りました。「外食・レストランメニュー」「コンビニエンスストアメニュー」から、それぞれ自分たちに必要な栄養バランスの良い献立を考えます。メニューが決まったらホワイトボードに貼って発表です。

子どもたちは興味津々で目を輝かせて料理カードを手にし、そこから次々と話題が生まれました。グループで1つの献立にまとめるので意見が分かれることもありましたが、話し合いながらまとめました。

料理カードを前に話し合う小学校低学年の選手たち
料理カードを前に話し合う小学校低学年の選手たち

発表内容は「メニューの紹介」「料理を選んだ理由」「献立のポイント」で、必ず全員が1回ずつ話をするというルールも設けました。選手、コーチ、保護者と大勢の前で発表するのに少し恥ずかしがる選手もいましたが、全員が自分の考えをしっかり口にすることができました。

献立作りは、小学校低学年には難しい内容でもありましたが、料理カードを前にテンションが上がった子どもたちは、講習の内容を思い出しながら自分たちなりの考えをまとめていました。発表の時も元気の良い大きな声が出ていました。

20人以上もいる5年生以上は、家庭科や保健の授業で栄養に関して学習していることもあって理解も深く「主食+主菜+副菜+果物+乳製品」を意識して話し合いを進めていました。さらに、その献立の目的や、料理に入っている栄養素を具体的に説明する場面も見られました。

料理カードを見ながら献立を考える小学校高学年の選手たち
料理カードを見ながら献立を考える小学校高学年の選手たち
グループで考えた献立を発表する選手たち
グループで考えた献立を発表する選手たち

保護者向け栄養セミナー

成長期の体の変化についての基本の話をベースに、ジュニアアスリートの献立のポイントやエネルギーごとのメニュー展開についてお伝えしました。毎日食事を作っている保護者の皆さんはとても熱心で、質疑応答では「好き嫌い」「補食」「サプリメントに関する話題」が挙がりました。

オンラインとは違って実際に子どもたちや保護者と触れ合い、その空気感を感じながら2日間にわたってセミナーを行えたことで、私も非常に楽しい時間を過ごせました。また、子どもたちも体を使って、五感を通して栄養の知識を得たことで理解度も増したことと思います。

デイゴRSの皆さんには今後も定期的に、オンラインと対面とで栄養セミナーを行っていきます。成長期の子どもたちの変化の様子を間近で見られること、楽しみにしています。

管理栄養士・金子香織