近年、SNSを通じて体型やダイエットに関する情報を目にするようになり、若い女性が“理想の体型”(ボディイメージ)を追求するあまり、健康を脅かすほどのやせ願望に拍車をかけているとも言われている。

先に、「食べない・運動しない」は危険、やせた若い女性に潜む糖尿病リスク」で伝えたように、やせた若い女性(BMI18.5未満)は標準体重の女性に比べて、糖尿病の発症リスクが高いという研究結果が発表された。「やせるために食べる量を減らす」「筋肉がついて太く見えるから運動はしない」という若い女性の生活スタイルが、食後に血糖値が急上昇して下がりきらない「耐糖能異常」を引き起こす可能性があることが分かったのだ。

さらに多くの国際研究において、やせ願望の女性は自分の身体に対するネガティブなイメージが強い傾向で、自尊心の低下やうつ病、摂食障害のリスクを高める可能性があることも指摘されている。

室伏由佳准教授と門屋悠香助教

これらのことから、自らもトップアスリートであり、女性アスリートの健康に関心を寄せてきた順天堂大学スポーツ健康科学部の室伏由佳准教授と、アスレティックトレーナーとしてアスリートの身体に向き合ってきた門屋悠香助教が、運動習慣のない女性をターゲットにしたエクササイズプログラムの動画を作成し、より多くの人に活用して欲しいと訴えた。室伏准教授は「やせ願望のある女性の中には、トレーニングをして筋肉量が増えると体重が増え、身体が太く見えるようなイメージを抱く方もいますが、目的に応じた方法で運動やトレーニングをすれば、そうした心配はありません」と話し、心身の健康に役立てて欲しいとしている。

筋肉の量を増やし、質を上げる

この動画は、やせ女性の糖尿病リスクに影響を及ぼすと考えられている筋肉の「量」と「質」に着目し、体幹や下肢の大きな筋肉をバランスよく鍛えることを狙いとしている。エクササイズに入る前に自分の身体の状態を把握するために、しゃがみこんだり、腕を上げ下げするような機能的な動作がスムーズに行えるかどうかチェックした上で、身体の状態やその日の気分に応じて選べるように3つの強度に応じ、すき間時間に無理なくできるようなプログラムを紹介している。

門屋助教は「まず筋肉の量を増やし、そして筋肉の質を上げる。つまり筋肉に溜まった脂肪の量を減らすことです。そのためにサーキットトレーニングのようにいろいろな動きを組み合わせ、トータルで有酸素運動に近い運動ができる構成にしました」と話す。やさしい動きから始めて、達成感や楽しさを味わえるのもポイントだ。

自分自身の変化を感じ、運動を習慣に

運動は継続して習慣化させることが大切だ。「前の自分と比べてスムーズな動作ができるようになったか、身体の機能性が向上したかどうかを定期的にチェックすることで、自分自身が変化を感じることができます。そうやって自分の身体の状態を知ることによって、主体的に運動を続けていけるようになります」と室伏准教授。まずはエクササイズを始める一歩を踏み出してみよう。【アスレシピ編集部】

  • 女性のためのエクササイズプログラム動画
    https://www.youtube.com/playlist?list=PLFwRLsRI_gpDN59oCAimuHdnNp0aOH0xK