元バレーボール女子日本代表のセッターで、今年の春に引退した佐藤美弥さん(31)は、同じく男子日本代表のセッターで東京オリンピックに出場した藤井直伸選手(29=東レ)と結婚したことを9月に発表した。バレー選手同士の結婚はこれまでもあったが、セッター同士というのは珍しい。アスリートから「アスリートの妻」になった佐藤さんは、食生活においてどんなことを大切にしているのか、話を聞いた。【聞き手・中西美雁】

元バレーボール女子日本代表の佐藤美弥さん
元バレーボール女子日本代表の佐藤美弥さん

-結婚後、食事で気をつけていることは

実は、彼の方が食に関して意識が高いんです。外食で鶏肉を頼んだ場合、皮がついていたら絶対外して食べるとか。そんなことを結婚前から見ていたので、自分のとき以上に意識はします。でも、変に意識しすぎてガチガチになるより、食事は楽しい時間になるといいなと思っています。タンパク質量も意識するけど、なるべく品数を多くしてバランス良く栄養をとれたらいいと。アスリートの食事としてだけでなく、お互いの健康面も考えているので、なるべく体に良い物をとりたいとは思っています。

佐藤さんの手料理(本人提供)
佐藤さんの手料理(本人提供)

-藤井選手の好きなものは

私はお魚が好きなんですが、彼も意外と魚を好きなので、一緒でよかったです。スーパーに一緒に買い物に行くと、大福やおはぎをよくカゴに入れています(笑)。和菓子が好きですね。

(別のインタビューで藤井選手に「奥様の手料理はおいしいですか?」と聞いたところ「はい、全部おいしいです!」と答えていました)

-佐藤さんは魚が好きなんですね

お寿司も、焼き魚も好きです。最近はお肉より一層、魚が好きになってきました。嫌いな食べ物はレバーですが、他は大体食べられます。

佐藤さんと夫の藤井選手(本人提供)
佐藤さんと夫の藤井選手(本人提供)

-現役時代の食の苦労は

私はお米とか主食が好きなんですが、アスリートは筋肉を作るタンパク質を多く摂らなきゃいけないので、考えることが増えましたね。チームの寮や代表合宿のトレーニングセンターといった施設では食事が提供されるのでいいのですが、寮を出て自炊しているときは、タンパク質の割合を考えて食事を作るのが大変でした。タンパク質は意識して摂らないと、足りないので。

海外での食事に関しては、私は地元の食べ物を食べられたので、そういった苦労はあまりなかったかな。

-得意料理は

肉じゃがです。現役時代、休みの日に時間があると、まとめて大量に作っていました。リーグ期間になると週末は宿泊先で食事をするんですが、それ以外のときに、なるべく練習から帰ってきてすぐ食事をとりたいと思って。

佐藤さんの得意料理の肉じゃが(本人提供)
佐藤さんの得意料理の肉じゃが(本人提供)

-試合前の食事で意識したことは

試合前はどちらかというと炭水化物メインで、筋肉を意識するというよりはエネルギーをため込むため、持久力を持たせるために炭水化物を意識してとっていました。

-食の嗜好に変化は

あまり変わっていませんが、子どもの頃は甘いものが得意ではありませんでした。食べられなくはなかったですが。元々、好き嫌いはそんなになかった方です。

日本代表で共にプレーした古賀紗理那(左)と奥村麻依に挟まれて、笑顔を浮かべる佐藤さん
日本代表で共にプレーした古賀紗理那(左)と奥村麻依に挟まれて、笑顔を浮かべる佐藤さん

-小中高時代、お母さんに食事で要求したことは

バレーのために、「これ作って、食べたい」とかはなかったですね。ただ、中学1年のときに身長が一気に10センチ伸びたこともあり、貧血に悩まされていたので、お母さんが意識して鉄分の多いメニューを出してくれました。でも…レバーはダメでしたね(苦笑)。鉄分多いのはわかっているんですけど、食べられないです。

佐藤さんの手料理。メインはサンマ(本人提供)
佐藤さんの手料理。メインはサンマ(本人提供)

-ジュニアアスリートと保護者に向けて食のアドバイスを

「アスリートの食事」とするものは、親御さんが食べ物の栄養価などを理解して、意識的にお子さんに出すと思うんですけど、お子さん自身も「これは何の力になる」とかを理解することで、食べることに意識が向くこともあると思います。そういう意識は大事ですし、今では色々な情報が手に入りやすいので手に取ることも大切だと思います。とはいえ、やっぱりその食べ物が自分の体に合ったものかどうかや体の変化は自分が感じるものですから、色んなものを食べて、色んな体の変化を感じながら、食事の時間は家族で楽しくというのが一番大事だと思います。

佐藤美弥(さとう・みや) 本名・藤井美弥 1990年3月7日生まれ、秋田県出身。小学4年生の時、友人に誘われバレーボールを始めた。同じチームに背が高い選手がいたため、セッターに。聖霊女子短大付高では、同学年の江畑幸子(ロンドン五輪銅メダリスト)らとともに春高バレーやインターハイなどで活躍。嘉悦大時代の2010年に初代表に登録。元バルセロナ五輪代表の松田明彦氏が監督となった日立で、セッターとして成長。2014年に再び代表に登録され、リオ五輪代表は外れたものの、中田久美氏が代表監督になると主力として活躍し、東京五輪出場を目指した。しかし、右アキレス腱負傷や腰痛など度重なるケガにより、2021年春に現役引退。9月に男子代表のセッター藤井直伸と結婚を発表。175センチ。