岩手・盛岡大付高野球部の食を支えるのは、監督夫人・関口由可里さん(43)を中心としたファミリーの力。選手たちは「夏は勝って恩返しをしたい」と、食事での体力づくりに励んでいます。

関口監督は「今の2年生の体は間違いなく大きくなりました」と手応えを感じている

筋肉の質高め、フライを本塁打に

フライを本塁打にする─昨年4月に新築された盛岡大付の野球部寮「清瞬館」の寮母を務める関口清治監督(43)夫人・由可里さんは、食事でチームをバックアップしている。「打球をはね返す力は、体が土台。たとえ体が小さく食が細い子でも、筋肉の質を高めることで、打球がフライになるか、スタンドに入るかの差が出る。私はそこにやりがいを感じています」と目を輝かせた。

盛岡大付の寮母、関口由可里さん(撮影・青山麻美)

寮の食事は、由可里さんと松崎克哉部長(34)夫人・彩さん(35)が担当。前川剛大コーチ(24)も盛り付けなどを手伝う。関口監督は「これまでも体を大きくしろ、力をつけろと言ってきた。でも、元となる食事の管理は全くやっていなかった。食事に力を入れた寮を作りたいと思った」。現在、2年生を中心に44人が寮で暮らしている。

選手たちは年始に目標体重を掲げ、達成に向けて各自で食事トレーニングに取り組んでいる

夕食メニュー。豚肩ロースのガリバタゴロゴロステーキ、海鮮チヂミ、テグタンスープ、フルーツヨーグルトなどが並ぶ

本当の体づくりへ。きっかけは18年秋だった。東北大会を制したが、体が細い選手が多かった。翌年のセンバツへ向け「ちょっと太らせてもらえないか」と関口監督から相談を受けた由可里さんは、全体練習の昼食に、それまでのお弁当に親子丼やチキン丼などの丼ものをプラスした。

由可里さん(右)は選手とのコミュニケーションもバッチリ。選手のお母さんがわりだ

19年には寮新築の話が持ち上がり、寮母を引き受けると「やるからには専門的な知識を持ちたい」と、寮が完成するまで、5人の子どもの子育てをしながら食品衛生管理責任者と調理師免許を取得した。

手書きのメニューに由可里さんの愛情が込められている

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