栃木・作新学院高女子硬式野球部は昨夏、全国大会で優勝。チームの特徴であるパワフルな打撃は、お母さんや寮長らの愛情込めた手作り料理から生まれます。

部員は2年生8人、1年生21人、マネジャー2人の計31人。彩り豊かなお弁当を手にして笑顔!

バランスよくきれいなお弁当に感謝

秋の週末。作新学院女子硬式野球部は近隣のボーイズチームを招待し、練習試合を行っていた。午前中の対戦を終えると選手たちは1カ所に集まり、一斉にランチタイム。バラエティー豊かで食欲をそそるおかずがお弁当箱から顔をのぞかせている。

岡田選手のお弁当は、卵焼き、ウインナー、ハンバーグ、ナポリタン、ホウレン草サラダ、ふりかけご飯、そしてお気に入りのゴマ団子

底までぎっしり、お母さん特製のお弁当を手にするのは岡田乃愛選手(1年)。栄養バランスを考えつつ、お気に入りのおかずをリクエストすれば必ず入れてくれる。出井真央選手(1年)は「同じメニューでも並べ方が毎回違って、すごくキレイだなと思います」と、見た目にも気を使ってくれるお母さんに感謝しきりだ。2人とも帰宅後、「今日もおいしかったよ」と感謝を欠かさない。

出井選手のお弁当は、肉巻きおにぎり、ちくわの梅しそ巻き、カボチャの煮物、唐揚げ、だし巻き卵などが名前入りのお弁当箱にぎっしり

栃木県初の女子硬式野球部は、創部7年目となる昨夏の選手権大会で念願の全国制覇を果たした。近年、全国で高校の女子硬式野球部が増えてきたとはいえ、まだまだチーム数が限られる。ボーイズや女子の大学・社会人チームとも練習試合を組んで、実戦経験を積む。普段の練習場所は室内練習場がメイン。打撃に多くの時間を割き、全体練習後も各自で熱心に振り込んでいる。

アスリートの食事学ぶ栄養講座

チームの特徴であるパワフルな打撃を生む筋力には食事が大きく関わっている。塩田怜音主将(2年)は身をもって食事の大切さを感じた1人。「中学のときに朝食を抜いてしまって体調が優れないことがあったので、高校では朝昼晩しっかり食べるようにしています。特に、ランニングが多くてすぐおなかがすく冬の練習の時期にたくさん食べていたら、筋肉がついて懸垂も上がれるようになりました」。

田代恭規監督(56)も「まんべんなく食べてもらいたいし、アスリートとしては脂肪分の少ない鶏肉なども意識して選んでほしい」と話す。年に1~2回、食トレの一環として行われているのが同校OGの栄養士・阿部美恵子さんによる栄養講座。練習前後の食事や水分補給の仕方、どのタイミングでどんなものを摂取すべきかなどの詳しいアドバイスをもらっている。

田代恭規監督。選手が食に興味を持てるように工夫している

現在は自宅通いのほか、下宿や自炊生活の選手もおり、日々の食生活はさまざま。だからこそ田代監督は、どの環境の選手でも食に興味を持てるよう工夫している。新型コロナの影響で今年はまだ開催できていないが、講座は選手の保護者も参加可能。家族で栄養の正しい知識を得られる貴重な機会だ。

田代監督は「甘いものはなるべく控えるようにと言っていますが、食べてはいけないことがストレスになるのもよくないので、食べ過ぎない範囲で」と口にする。実際、練習後に監督がお菓子を配る光景も見られ、選手たちはうれしそうにパクパク。お菓子が監督と選手のコミュニケーションに一役買ってくれることもある。あまり神経質にならないことが、甘いものとアスリート女子との適度な距離感なのかもしれない。

ハードトレーニングをこなせる強い体を目指すのも、全ては野球のため。家族や寮長らが愛情込めて作ってくれる料理をおいしくいただく。食べるときはストレスフリーで楽しく。そんな食生活が選手たちのパワーを作り出している。【吉松由紀子】

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