サクセスストーリーは生まれるだろうか。

みそ・醸造製品メーカーの「ハナマルキ」と、箱根駅伝初出場を目指す駿河台大学の駅伝部がコラボし、スポーツに取り組む人に向けた「定番アスリートごはん」を作り上げた。

いずれもハナマルキの「液体塩こうじ」を使ったもので、特別レシピそのものは駅伝部の徳本一善監督(41)と、妻で管理栄養士の梨江さんが監修。駅伝・マラソンランナーに向けた「彩り野菜の塩こうじビビンバ」や「スポーツ米握り」、健康のためにジョギングしている人向けの「さつまいもの塩こうじ煮」など、計6品が同社HP(https://www.hanamaruki.co.jp/athletegohan.html)に公開されている。

彩り野菜の塩こうじビビンバ

不思議なのは、なぜ両者が手を組んだのかということだった。ハナマルキと言えば「おみそな~ら~ハナマルキ♪」のCMでも有名な1918年設立の老舗メーカーだが、駿河台大の駅伝部と聞いても、ピンとくる人はあまりいないだろう。

法大で名をはせた徳本監督の就任

駿河台大が箱根駅伝の予選会に初参加したのは2005年。結果は27位だった。以降、20~30位台が定番で、出場校中最下位になったこともあった。予選会10位以内に与えられる本戦出場は夢のまた夢に思えた。

夢を現実に変えようと動きだしたのが2012年、日清食品で日本選手権5000メートルを2連覇するなど活躍した徳本氏の駅伝部監督就任だった。

名前を聞いて、法政大時代を思い出す人もいるだろう。箱根駅伝には4年連続で出場。特に、2年時に1区で2位に1分以上の差をつける激走(法大史上44年ぶりの区間賞)を見せた一方で、花の2区を走った4年時には右足を肉離れ。涙を流しながら7.3キロ地点で監督に制止されて棄権した姿は広く話題になった。

第78回箱根駅伝で途中棄権し、右足に包帯を巻きチームメートの肩を借りて歩く当時法大4年の徳本(2002年1月2日)

夫婦だからできる意見の“ケンカ”

その徳本監督の就任で、駿河台大の駅伝部は本格的に動き始めた。

ただ、練習はハードになる一方で、栄養面をサポートできる栄養士がいない。白羽の矢が立ったのが、2002年の結婚以来、選手生活をサポートしてくれていた妻梨江さんだった。「栄養士が欲しいが、コストの関係で難しかったときに思ったのが『あっ、妻がいる』でした。コストパフォーマンスを考えて、妻に栄養の大学に通ってもらって、管理栄養士の資格を取ってもらったのが、事の経緯です」。徳本監督が笑って裏話を明かした。

梨江さんも2015年から駅伝チームに加わった。監督と栄養士。現場で求めるものと栄養学の観点が異なることもあり、幾度となく意見がぶつかり合った。ただ、それがコミュニケーションが遠慮無くできる「夫婦」だったことは何よりの「強みだった」と振り返る。

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