<高校野球神奈川大会:相模原11-0新城(5回コールド)>◇9日◇3回戦◇小田原

相模原が5本の長打を含む16安打の猛攻2試合連続のコールド勝ちで4回戦に進出した。昨年創部初の4強入りした強力打線は今年も健在で2試合合計34安打30得点をたたきだした。そんな選手たちを支えるのは、保護者たちの「食」と「DIY」のサポートだ。

「保護者の力はチーム強化の大切な要素です」と佐相眞澄監督(61)はきっぱりと言う。2012年に赴任後、14年春に県大会16強、同夏の県大会で8強、15年春には準優勝し、関東大会に出場。昨夏は強豪・横浜を破って創部初の4強入りを果たし、大きな話題となった。スカウティングなしで選手を育成し、飛躍的な躍進の裏には、保護者を巻き込んだチームビルディングがある。

今春は新入生30人が入部するなど「県立の雄」として人気が高まっている相模原(昨年11月撮影)

帰宅が遅い息子たちの体作りのために

昨年11月の日曜日、選手と保護者向けの栄養講習会が開催された。タンパク質の摂取量や、栄養バランスの重要性を学んだ母たちは講習後、次のような感想を話していた。

「部活の後、塾に行っているので帰宅は午後10時すぎ。好き嫌いが多いので好物の鶏のから揚げや、とんかつを出していましたが、消化の悪いものは夜遅い夕食に向かない。改善しないとですね」
「1回の食事でタンパク質の吸収に限度があるので、食べる回数を増やしてゆで卵や鶏のむね肉などを出そうと思います」
「食べているのに体重が増えません。お弁当と補食で1日3000kcalは持たせていますが、アミノ酸も摂取したほうがいいと思いました」
「汁ものがいいと聞いてから、鍋を多くしました。試合の日はお弁当に加えてアミノ酸のサプリメントも持たせるなど、練習日と試合日の使い分けも工夫しています」

学習塾に通う選手も多い相模原は保護者の食に対する意識も高い(昨年11月撮影)

激戦区神奈川を勝ち抜くには、家庭での食事、強い体づくりが不可欠だ。母たちは息子たちのために、食事作りでバックアップをしていた。

主砲・温品は食事面の協力に感謝

昨夏、164センチながら7試合で4本塁打を記録した主砲の温品直翔(ぬくしな・なおと)選手(3年)は、体重を2キロ増やして今大会に臨んだ。「スイングの起動をラインにしっかり入れて打てば自分のような小柄な選手でも遠くに飛ばすことができる。パワーがないので、佐相先生から教えてもらった技術でカバーする」と自信をのぞかせた。ここまで2試合8打数6安打3打点と好調で「夏男」をアピール中だ。

昨夏の4本塁打に続き、今夏も打率7割5分と絶好調の温品(昨年11月撮影)

家族のサポートについて聞くと「家が茅ヶ崎で遠いので、母が毎朝5時起きで弁当を作ってくれます。豚のショウガ焼きが特に好きです。食事面での協力がないと今の自分はないので、本当に感謝しています」と、母には直接言えない思いを口にした。

環境整備に汗を流す選手の父たちは、家族で野球の話ができるのが楽しみだという(昨年11月撮影)

バッティングケージなどは父たちの手作り

母たちだけでない。父たちはグラウンドでの力仕事でバックアップしてきた。バッティングケージを作ったり、防球ネットの修繕をしたり、環境整備を担当している。佐相監督は「公立は保護者と一緒になって楽しみながら交流しなくてはいけない」という考えを持ち、定期的に行う保護者との交流会では普段見せない素顔や本音を出し合い、強固な信頼関係を築いている。

木製の「移動式マウンド」も保護者の力で完成。設備は創意工夫にあふれている(昨年11月撮影)

家庭の様子を聞くことは、采配のひらめきにつながるという。休校中は打撃指導とは別に、保護者全世帯とスタッフで「Zoom保護者会」も開催した。「何でも言い合える気さくな先生」として保護者からも全面に信頼されていることで、選手・指導者・保護者が一体となっている。

今大会は観戦が認められていない保護者たちは、試合時間になると仕事や家事の手を止めて、インターネットの速報をチェック。応援に行けなくても「リモート観戦」で心を1つにしている。次戦の相手は、甲子園交流試合(17日)にも出場する東海大相模だ。一昨年(準々決勝)、昨年(準決勝)に続く3年連続夏の対戦となる。「相模を倒して優勝」。保護者の思いも乗せて、選手はプレーする。【樫本ゆき】