<巨人2-9広島>◇2日◇東京ドーム

広島高卒3年目の遠藤淳志投手(21)が9回5安打2失点、無四球の力投でプロ初の完投勝利を挙げた。最速147キロの直球と変化球で巨人打線を手玉に取った。打線も鈴木誠也外野手(25)の先制11号2ランを皮切りに6試合ぶりの2桁安打で9得点と大量援護に成功した。遠藤も3回にプロ初打点を記録。1軍の先発投手最年少右腕が、巨人戦3連敗を阻止した。

巨人対広島 完投し2勝目の広島遠藤は勝利球を手にポーズを決める(撮影・滝沢徹郎)

遠藤は全身で、プロで初めて味わう感触を堪能した。9回2死、最後の打者ウィーラーを144キロ直球で押し込んだ。飛球が三塁三好のグラブに収まると、グラブを右手でポンッとたたいて喜んだ。3年目のプロ初完投。しかも首位巨人の重量打線をなで斬ってチームの連敗も2で止めた。「今まで味わったことがない感じで、すごく気持ちがよかった」と会心の笑顔だ。

「完投ボディー」を手に入れた。2年目の昨季、中継ぎで34試合に投げた右腕は、オフに先発転向を志願し、肉体改造に励んだ。「長いイニング投げられるのが先発。僕の理想像は完投型です」。栄養管理を徹底。揚げ物を控えるなど体脂肪を落としながら筋肉量を増やし、6キロ増の87キロでシーズンを迎えた。しっかり蓄えたスタミナは、この日も最後まで切れなかった。

巨人対広島 完投勝利した広島遠藤(奥)は佐々岡監督から称えられる(撮影・滝沢徹郎)

今季から直球の握り方を変えた。1月に巨人菅野、ソフトバンク千賀らが師事する鴻江トレーナーが主催する「スポーツアカデミー」に参加。昨年まで直球がカットボール気味になっていたことから、同トレーナーの指導で新たなボールの握りに挑戦した。「大げさに言えばシュートを投げるイメージで変えましたね」。昨年よりボールにかける2本の指を約1センチボールの内側にずらし、人さし指と中指の間隔を狭くした。しっかりした回転でキレを増した新たな武器で、強力打線に立ち向かった。

巨人対広島 6回裏巨人2死二塁、丸を左飛に打ち取った遠藤(手前)は笑顔でナインを出迎える(撮影・滝沢徹郎)

9番打者としても存在感を示した。野手陣の7点援護に加え、3回2死二、三塁から、中前へプロ初打点となる2点適時打。自らの快投に“セルフ援護点”を加え、投打で躍動した。佐々岡監督は「今日は真っすぐのスピードも出てたし、キレがあった。期待していた選手。完投してくれ、自信にしてくれればいい」とたたえた。最下位脱出へ、21歳の若武者が明るい希望をともした。【古財稜明】

▽広島坂倉(7月18日以来のスタメンマスクで遠藤を好リード)「遠藤がしっかり腕を振ってくれた。(二塁打2本は)最近ヒットが出てなかったので、とにかく振っていこうと思った」

◆遠藤淳志(えんどう・あつし)1999年(平11)4月8日生まれ、茨城県出身。霞ケ浦で甲子園出場はなし。17年ドラフト5位で広島入団。最速149キロの直球と、縦に曲がり落ちるカーブ、スライダーが武器。昨季は中継ぎで34試合に登板し、1勝1敗、6ホールド、7ホールドポイント、1セーブで防御率3・16。184センチ、78キロ。右投げ右打ち。

(2020年8月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)